7 LOS GATOS/LA BALSA (PAGINA)12
アルゼンチン、サイケ、ガレージ、オリジナルリリースは67年ファースト作にボートラ2曲付。
アルゼンチンロック界の重鎮リト ネビア率いた伝説のガレージ、ビートグループ、ロスガトスサルベヘスがロスガトスと改名してのファースト作。ブリテイッシュインベンションの影響色濃いのだが、安易にカバーに流れる事なく、全曲オリジナルで勝負してるのが偉い、1曲を除いてリト ネビア作、高いソングライティング能力は瞠目に価する。鄙びたオルガン、ピアノにカッテイングギター、弾むリズム隊、明朗なヴォーカル、ハーモニーに南米らしい哀愁が漂うビートサイケポップスナンバーがご機嫌!
8 LEONARD COHEN/SONGS OF LEONARD COHEN 07(SONY)8 8697 04742 2 デジパック
加、フォーク、SSW、オリジナルリリースは67年ファースト作にボートラ2曲付。
レナード コーエンが亡くなった、82歳 、現役最年長ロッカーとしてまだまだ頑張って欲しかった。詩人、小説家として既に名声を得ていたコーエンが、SSWとしてデビューしたのは30過ぎであった、SSW、シンガー、パフォーマーとしても卓越した才能を持った真の天才であった、、、哀悼。
未聴の山からコーエンを聴く。一体何アイテム目になるだろうか、国内に米盤アナログ、プラケ、紙に本作CD、コーエンに関しては単にミーハーなのでしようがない?
「シスターズオブマーシー」「ソーロングマリアンヌ」「ゼイザッツノーウェイトウセイグッドバイ」の流れはいつ聴いてもゾクゾクする。今年7月にマリアンヌが亡くなった、そしてコーエンが、、、
9 ベアフットジェリー/キーズトウザカントリー・ベアフッテイン 97(MSI)MSIG0293
米、カントリー、ロック、オリジナルリリースは75年5作目と76年6作目最終作の2イン1仕様盤。
ナッシュビルの凄腕セッションメンによって結成されたエリアコード615はエリアコード一派とも称され、マスルショールズともリンクし、米音楽シーンの屋台骨を支えた重要なミュージシャン揃いであった。ベアフットジェリーはウェイン モスを中心に始動、カントリーを基調としたアメリカンミュージックの真髄、楽しさを伝えてくれる。
10 SPECTRUM MURTCEPS/GHOSTS:POST-TERMINAL REFLECTION (RAVEN)RVCD18
豪、プログレ、71-74ベストコンピ盤全13曲。
スペクトラムと別ユニットマートセプスのベストコンピ盤。冒頭ナンバーはオムニバス盤収録のレアトラックで、カントリー、スワンプ調ナンバーに呆気に取られるが、シングルトラックに続く71年作ファースト「スペクトラムパートワン」、72年セカンド「マイルサーゴ」はどちらも当ブログで紹介済み、カンタベリー派にも通じるオルガンプログレ、ジャズロックサウンドでスペクトラムの真価を感じる事が出来る、ハーモニカ、リコーダーの味付けが良い。最後にマートセプス、スペクトラムの綴りを逆にしたもので、恐らくお遊び的なユニット、ややスワンピーな色彩を帯びた美メロが良い、単体でのCD化を望む。
11 V.A/マルグリット デュラスに捧ぐ (オーマガトキ)SC1109
英、ベルギー、NW、オリジナルリリースは85年、ベルギーのレデスクドクレプスキュールレーベルの企画アルバム。
仏女流作家、詩人、映画監督マルグリット デュラスに捧げられたアルバムでスキッズ、アーモリーショーのリチャード ジョブソンの朗読を中心に、ピアノでヴァージニア アストリー、セシル ブリュイノー、タキシードムーンのブレイン レイニンガー(ヴァイオリン)、スティーヴン ブラウン(クラリネット他)、ドルッテイコラムが参加。
ヴィニ ライリーの特徴的なギターの音色、クラシカルなピアノ、静謐な音の中、ジョブソンのトーキングヴォーカル調の朗読が演劇的でクレプスキュールらしい美しいアルバム!
12 MICK HARVEY/PINK ELEPHANTS 97(MUTE)MUTE9036 2
豪、NW、セカンド作、カバー集。
ゲーンズブル狂ミック ハーヴェイ、前作に続きゲーンズブルカバー集第二段、バースディパーティー、バッドシーズとニック ケイヴの片腕的存在、ケイヴファミリーの番頭として活躍。
二枚連続のゲーンズブル英詞カバー、一曲親分ケイヴに姉御アニタ レーンの「ジュテーム」、見事にはまり役、レーンは続く「メロディネルソンのバラッド」でハーヴェイとデュエット。ハーヴェイの歌は声量乏しく下手なんだけど、ゲーンズブルへの深いリスペクトを感じる好盤。
パート2
パート3

13 VANGELIS GERMANOS/TA BARAKIA 03(LYRA)LYRA3336
ギリシャ、SSW、オリジナルリリースは81年ファースト作。
ヴァンゲリスといえばキーボード奏者のパパサナシューが有名、こちらのジャーマノスはほとんど知られてない。本作はオピスソドロミキ コンパーニャというグループに参加後リリースした初アルバムで、オピスソドロミキ時代の同僚エルフセーリア アルバニターキ嬢がヴォーカル参加し、息の合ったデュエットを披露、アルバニターキは本作で高い評価を得、84年にソロデビュー、多数のアルバムをリリースしてるみたいだ。アルバニターキ嬢のサポートに、可愛らしい女の子ヴォーカルも聴かれるのだが、ジャーマノスの娘さん?何せライナーが全てギリシャ語なので詳細は珍粉漢粉。色々サポートヴォーカル入ってるので、ジャーマノスのヴォーカル弱いのではないかと思われるかもしれないが、やや嗄れ声で朗々と歌い上げるスタイルの地中海の陽光を思わせる、なかなか魅力的なヴォーカルで引き込まれる。

14 TONTON MACOUTE (AKARMA)AK149 ペーパースリーブ
英、プログレ、ジャズロック、オリジナルリリースは71年唯一作。
ネオンレーベル、キーフジャケで人気のトントンマクート、逸早くCD化されたデフジャケの極悪ブート盤にその後レパートワー盤をゲット、アナログはオリジナル盤は激高なのでカウンターフイット盤の方で所持してる、今回強引に三面開きにしたアカルマの力技に屈してゲット、何故に三面、スプリングを意識したのか?
キーフジャケのイメージ通りのモノクロでクールでシュールなジャズロック、ポール フレンチのオルガン、ピアノにディブ ノウルズのサックス、フルート、クラリネットがメイン、ジャージーなリズム隊に淡々とクールに絡んでいく、派手な展開も耳を引くテクニックは無いのだが、妙に惹かれるものがある、枯れ山水の境地か?
15 KATE BUSH/DIRECTOR'S CUT 11(FISH PEOPLE)5099902777221 ペーパースリーブ
英、ロック、9作目。
89年6作目「センシュワルワールド」、93年7作目「レッドシューズ」収録曲のセルフカバー集。
ケイト ブッシュもデビューして40年、リリースしたアルバムは10枚程だから随分寡作だ。天才少女と云われデビューし、「ドリーミング」で一気に頂点に突き抜けた、その間5年余り、それ以降は作品間のインターバルは長くなり、05年の「エアリアル」までは12年(子育ても原因なのだが)、そして本作まで6年、ほぼ20年前の作品のリメイクを図る、デジタルへの過度期となった二枚の作品には完璧主義者ケイトとしては不満があったのであろう、自分なりにけじめを付け、同年新録のアルバム「雪のための50の物語」リリース。未入手、いつでも買えると思って既に5年、もうすぐライブ盤がリリースされるみたいだけど!

16 DIRTY MARTHA/THIS IS IT! 10(GEAR FAB)GF247
米、ブラスロック、69年録音蔵出し音源。
BS&T、チェイス、シカゴといったブラスロックバンドの台頭により、60年代末から70年代初頭にホーンセクション担当メンバーを含む多所帯のグループが多数結成された、ダーティマーサもそうで3人のホーン奏者含む8人編成グループ。ゾンビーズ「シーズノットゼア」カバーシングルをリリースし、アルバム用に録音するもお蔵入りとなっていた音源、かなりスクラッチノイズが激しいのでアセテート盤起こしだろうか?
ダイナミックなホーンセクションにファズギター、ドンドコリズム隊にグルービーなオルガン、渋いヴォーカル、典型的なファンキーブラスロックサウンドに哀愁バラッドナンバー、先のゾンビーズカバーにスペンサーディビスグループ「ギミサムラビン」のカバーが格好良し、埋もれたのが残念。
17 MIKE PETERS/IN SESSION 2015 15(21CENTURY RECORDINGS)21C076 ペーパースリーブ
英、NW、ロック、正規盤かプロモ盤なのか不明。
曲間のインタビューがメインで6曲のみ、ライブ音源、ラジオミックス、デモ音源等、アラーム時代の「スタンド」が熱い、熱血漢マイク ピータースの真骨頂!
アラームファン向けコレクターズアイテム!
18 MFQ/ライヴインジャパン 03(夢街名曲堂)YDCD0102 紙ジャケ
米、フォーク、ロック、ライブ音源。
88年12月渋谷クラブクアトロ公演を完全収録、更に横浜公演でのみ演奏された1曲を追加。
4声のコーラスグループとして60年代に二枚のアルバムを残すも解散、その後のメンバーの活躍により再評価、特に我が国での人気は高く、日本オンリーの再結成アルバムや本作の来日公演が行われている。そのMFQのメンバーとはチップ ダグラス、ヘンリー ディルツ、サイラス ファーヤー、ジェリー イェスターの4人、本作にはジェリーの弟ジムも参加。圧倒的な知名度を持つ人物はいないが、米音楽をかじった人ならお分かりであろう、日本人好みの必殺仕事人的凄い面子なのである。70年代のフィフスアベニューバンドの60年代版と言えなくもない。
日本語のMCも交えてアットホームな雰囲気でステージは進行していく、巧みなヴォーカルに抜群のハーモニーワーク、米音楽の良心に心が洗われる。
今週は45枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY306 2016.1119-1125
1 ルー ルイス/セイヴ ザ ウェイル プラス 02(MSI)MSIF3979
英、パブ、パンク、オリジナルリリースは79年ファースト作にボートラ11曲付。
ステイッフのオリジナルアルバムがそこそこの値段で取引されてるパブロック必聴盤、チンピラらしいデフジャケでのリイシュー、真のパンクス=くず野郎に相応しい男ルー ルイス、素行不良でエディ&ホットロッズを馘になり、ソロとなり本作リリース、ウィルコ ジョンソンとバンドを組んだりするも、音楽活動はうまく行かず、終いには隣の郵便局強盗で服役とどうしようもない悪党なんだが、残された音源には最高の音楽が詰まってる、ルーのブリブリのブルースハープにチンピラヴォーカル、最高にカッコイイR&Bビートが炸裂、シングル音源4曲、ライブ音源7曲のボートラも嬉しい。
服役後、11年には奇跡の来日公演、翌年の再来日公演は何故か入国審査ではねられ公演中止という結果になってる。
近年、体調も思わしくないとの事だが、アルバム作って欲しいな!
2 PETER WALKER/ECHO OF MY SOUL 08(TOMPKINS SQUARE)TSQ1752 デジパック
米、フォーク、SSW、4作目。
60年代にヴァンガードから2枚のアルバムをリリースしたフォークシンガー、ファーストアルバムはアナログで入手したが、セカンドは長らく未入手だったが、漸くCDリイシュー盤を入手、当ブログで紹介済み。70年録音のお蔵入りサードアルバム用音源もリリースされるなど、何かと再評価高まる中、40年振りに復活し、アルバムリリース、復活第二段の本作はギターの腕前を活かしたギターソロインスト作、私的には歌声が聴きたい処なのだが!
3 J MICHAEL HENDERSON + FRIENDS/LOST & FOUND SESSIONS VOLUME 1 15(JMH) ペーパースリーブ
米、フォークロック、SSW、未発表音源集。
76年のファースト作がAOR系SSW作の名作として高く評価されてるJ マイケル ヘンダーソンが73年に録音していたデモセッション音源集。76年作はドラム以外はほぼマイケル一人による宅録作であったが、本作は4人編成のバンドスタイルによる躍動感溢れるフォークロック、ハモンド、ピアノ、ハープシコード、クラビネット、キーボードが効果的に配されたアメリカンロックサウンドに、バンジョーが軽快に舞うカントリーティストに仄かに漂うサイケフィーリングも実に良い感じ、AORチックなファーストより、断然お気に入り、パート2もリリースされたみたいだ、入手しなければ!
4 TERRY CALLIER/THE NEW FOLK SOUND OF 95(ACE)CDBGPM101
米、フォーク、オリジナルリリースは64年ファースト作。
黒人フォークシンガーといえば、古くはレッドベリーにジョシュ ホワイト、ハリー ベラフォンテ、レオン ベブ、リッチー ヘヴンスにテリー キャリアーであろう。
キャリアーの場合、70年代カデット時代の作品がフリーソウルシーンで再評価され復帰に至るという経緯がある。フォーク、ソウル、ジャズを内包した独自のスタイルで知られるキャリアーだが、ジャズ系レーベルプレステッジからリリースされた本作は、フレッド ニール、ティム ハーディン、ティム バックレー、ランディ バーンズ、ディノ ヴァレンテ、ラスティ エバンス等の先達となる64年のアルバム、フォーキーな色合いの強い弾き語り作、心の襞の奥に深く沁みていくスピリチュアルなヴォーカル、元祖アシッドフォークともいうべき音世界は深遠だ!
5 STEVE WYNN/HERE COME THE MIRACLES 01(BLUE ROSE)BLU DP0237 2CD デジパック
米、オルタナ、9作目。
米西海岸サイケデリックリバイバルペイズリーアンダーグラウンドを代表するグループ、ドリームシンジケートのフロントマンスティーヴ ウィン、ソロに転じてからも地味ながら良質なアルバムをリリースしてる。本作は元グリーンオンレッドのクリス カカバス、元カム、コデインのクリス ブローコウ、元ズーズーペタルスのリンダ ピットモンにディブ デカストロによるバンド編成にハウ ゲルブ、ジョン コンバティーノ、クレイグ シューマッハが一部参加。ドリシンを思わすガレージサイケ、ポストロックのかれうた系ヴォーカルもの、ベテランらしい余裕のアメリカンロック!
パート2
6 WOLFGANG MULLER/MIT WITTGENSTEIN IN KRISVUK 03(A-MUSIK)A25
独、NW、オルタナ、セカンド作。ノイエドイチェビレシーンのユニークなグループディーテートリッヒェドーリスは、プレーヤー付きのアナログをリリースしたり、WAVEレーベルより国内アナログ盤もリリースされ、今ではプレミア付きのアイテムが多いコレクターズグループである。その致死量ドーリスのフロントマンウルフガング ミューラーのアルバム。ドーリス譲りの致死量たっぷりの毒にまみれたストレンジトイポップは中毒性に溢れてる。
7 BLAST BURN/DEBON 98(PARADIGM DISCS)PD07
日、サイケ、アヴァンギャルド、オリジナルリリースは74年唯一作。ジュリアンコープ著「ジャップロックサンプラー」に掲載され、広く知られる事となったアルバム、ブラストバーンは当ブログで紹介済みのカルナカヤールと対となる作品で、メンバー等は一緒とされてるが、詳細は不明の幻のアイテム!
本作はブート?盤だが、近年カルナカヤールと同じくフェニックスレーベルよりリリースされてる。クラウトロック、アモンデュール、ファウストに通じるミニマルでプリミティブなアヴァンギャルドサイケ、原初的なエレクトロニクス、不穏な鈴の音に笛、ポコポコ太鼓、言語不明の呪詛的なヴォーカル、東洋的土着性感じる音世界、LPでは片面費やす全2曲、終盤ヘビーなギターが唸りあげるハードサイケデリックな展開になるがフェードアウト、そのまま10分程インプロビゼーション続けて欲しかったが、アナログ収録時間には限りあり。
因みにコープトップ50の26位にランクイン、カルナカヤールは19位!
8 HARDIN & YORK/THE WORLD'S SMALLEST BIG BAND 08(ESOTERIC)ECLEC2090
英、ロック、オリジナルリリースは70年セカンド作にボートラ8曲付。
本作は英オリジナルアナログ盤にて所持してるが、ボートラに釣られて入手。スペンサーディビスグループのエディ ハーディンとピート ヨークによるデュオグループ。キーボード&ドラムという変わった編成だが、ビリー ジョエルのアッテイラ、イタリアのルステイッチリ&ボルディニ、当ブログで紹介済みのスウェーデンのハンソン&カールソン、独のマグマ、マイナストゥーが知られてる位か、中でも最も知られてるのが、本グループであろう。ハーディンによる美しいピアノ弾き語りナンバーの前半から、ベースのイアン スミザーを加えたライブ録音によるロックンロール、ビートルズメドレーとパワフルなオルガンロックが展開される。
9 COMSAT ANGELS/CHASING SHADOWS 15(EDSEL)EDSK7091 2CD デジパック
英、NW、ネオサイケ、オリジナルリリースは86年6作目にボートラ1曲付と、90年変名でリリースした7作目の二枚組。
本作は以前プラケ盤を紹介済みだが、90年にドリームコマンド名義でリリースされた「ファイアーオンザムーン」は未入手だったのでゲット!当初、ドリームコマンドはジャケからアイドル入ったつまらないNWグループと思ってスルーしていたが、後にコムサッツの変名グループと知って探すが、探し出すと見つからないというあるあるに嵌まっていたわけ。売れ線狙いに走ったのかと思ったが、タイトなリズム隊、フェローズのヴォーカル、まんまコムサッツサウンド、多少ポップではあるが、ジャイブ時代はポップ指向でそこそこに売れてた経緯もあったので、アイランドレーベル側からの要求か?前作から4年のブランクの後、再起を喫しての変名でのリリースであったのかいまいち不明。
「チェイシングシャドウズ」は音質がプラケ盤より、断然良し、このグループの持つバンド然としたダイナミズムを伝えている。
10 MOTHER SUPERIOR 96(AUDIO ARCHIVES)AACD015
英、プログレ、ジャズロック、オリジナルリリースは75年唯一作。元祖ガールズバンドというと70年代初めに、スージー クアトロの姉パティ クアトロが在籍していたファニーが思い浮かぶ、人気面でいうとランナウェイズであろうか、同時期のイギリスにランナウェイズより実力が遥かに上の凄いグループがイギリスに存在した、マザースペリオール!ルックスは遥かに劣るが?顔じゃなく腕だよと言わんばかしの4人組。
英国ではテスト盤が数枚制作されただけで、スウェーデンのみでリリースされたという激レアアイテム。多少ドタバタもたついた面もあるが、多彩なキーボードワークに変拍子、ジャージーにプログレッシブにパワーポップに目覚ましく変化する曲展開がなかなかに聴かせる好盤、「レディマドンナ」のクールで投げやりなカバーが面白い。ヴォーカルにもっと個性があれば良いんだけど。
パート3
11 トーマス F ブラウン/ウェンズデイズ チャイルド 16(VIVID)VSCD5663 紙ジャケ
英、SSW、スワンプ、オリジナルリリースは71年ファースト作。
オリジナルはヴァーティゴ産のレア盤だが、米盤アナログが結構出回ってる。
フォリナーのミック ジョーンズとつるんで無名時代に、渡仏して活動してた音源等を纏めた、ミッキー&トミー名義のコンピ盤CDがリリースされてる、当ブログで紹介済み。
本作はトミーことトーマス F ブラウンがリリースしたソロアルバム、盟友ミッキーとの共同プロデュース、コンポーズによるパートナーシップ溢れる作品、フェアポートコンベンションのジェリー ドナヒュー、パット ドナルドソン、スプーキートウースのゲィリー ライト、バックヴォーカルにドリス トロイ、スー&サニーが参加。英国的な陰影、叙情性と幻想感にポップフィーリング、ライトスワンピーな味付けも絶妙な一枚!
その後74年にセカンド作を仏のみでリリース、程なく亡くなってしまったとの事。
12 MORLEY LOON/NORTHLAND,MY LAND 16(FUTURE DAYS RECORDINGS)FDR621 ペーパースリーブ
加、フォーク、SSW、オリジナルリリースは81年唯一作。
以前ネイティブアメリカンのSSWフロイド ウォーターマンを紹介したが、モーリー ルーンはカナダのネイティブアメリカンクリー族のSSWで俳優。本作はクリー語で綴られた弾き語り作で、鳥の囀ずり、フルートにパーカッションがナチュラルにプリミティブに鳴り響く、クリー語の朴訥としたヴォーカルも実に良い雰囲気、このまま自然回帰したくなる一枚!
13 SHEILA CHANDRA/MOONSUNG 12(REALWORLD)CDRWG77 ペーパースリーブ
英、ヒーリング、ポップス、ベストコンピ盤全13曲。
インド系英国人シーラ チャンドラーは83年モンスーンでアルバムデビュー、70ズカルトグループコンプレックスのスティーブ コーが全面バックアップしたNWファンに人気の一枚で国内盤もリリースされた。シーラはその後ソロアーティストとして多数のアルバムリリース、本作はピーター ガブリエルが設立したワールド系レーベルリアルワールドに92、94、96年にリリースした3枚のアルバムから選曲されたベスト盤。
シーラの透き通ったヴォーカルが深遠なるドローンサウンドの中、天上をどこまでも駆け抜けていく、邪な心が浄化されるヒーリングミュージック!ユニークな口タブラも新鮮、シーラの魅力に触れるには手取り早いベスト!
14 GILLIAN WELCH/THE HARROW & THE HARVEST 11(ACONY)5052498671724
米、フリーフォーク、オルタナカントリー、5作目。
前作より8年振りとなるアルバム、初期に回帰したかの様な傑作、デビッド ローリングスとの二人によるシンプルな弾き語り、ギター、バンジョー、ハーモニカといった簡素なバッキングがうたを際立たせる。うたの持つ素の魅力と適度なバッキングがデジタルに犯された脳には安らかに響く、ごちゃごちゃうるせーだけの音楽に飽き飽きの方にはたまには良いのではないかな?
15 PEDDLERS/LIVE AT THE PICKWICK!:THREE FOR ALL 98(SEE FOR MILES)SEECD673 2CD
英、モッドジャズ、オリジナルリリースは67年ファースト作と70年5作目のカップリング。
モッドジャズを代表するグループ、ファースト作はライブ盤、ジョージ フェイムのフラミンゴクラブでのライブ盤と共に、当時のクラブの熱気がムンムン伝わってくる名ライブ。ペドラーズはロイ フイリップスのキーボードを中心とするトリオ編成、ジャージーで真っ黒いソウルフルなサウンドはとにかくヒップでカッコイイ!ファーストリリース後、CBSへ移籍3枚のアルバムリリース、紙ジャケ化済み、古巣のフイリップスに戻りリリースした5作目はジャケがパッとしないが、苦味走ったヴォーカル、グルービーなオルガン、ジャージーなビート、中身は文句無し!
パート4

16 GROUP THERAPY/PEOPLE GET READY FOR & 37 MINUTES OF 09(BULL'S EYE)590 デジパック
米、ヘビーサイケ、オリジナルリリースは67年ファースト作と69年セカンド最終作の2イン1仕様盤。
ジミヘンの影響濃いヘビーサイケサウンドでオープニングから「フォクシーレディ」、更に「ヘイジョー」もカバー、多彩なオルガン、キーボードをフューチャーしたサウンドはヴァニラフアッジ、アートロック風、叙情的なバラッドナンバーもじっくり聴かせる。セカンド作では更にハードに迫りくる。くどいくらいに歌い上げるヴォーカルはレイ ケネディ、70年にスワンプなソロアルバムリリース、スーパーグループKGBを経て、80年にはAORなアルバムリリース、MSGの来日公演にリードヴォーカル参加と活躍した名ヴォーカリストなのである。
レイ ケネディ参加という事で注目のグループ!

17 FREEBORNE/PEAK IMPRESSIONS 07(SECOND HARVEST)406 デジパック
米、サイケ、オリジナルリリースは67年唯一作にボートラ3曲付。
何種目のCD再発であろうか、4度目?地味ながらも需要ある人気盤と云えよう。初出のブート?アフターマス盤で所持してるがボートラに釣られて入手。アフターマス盤と同じのデフジャケ仕様。
ボスタウンシーンの一派に属されるフリーボーン、アルティメイトスピナッチ、カメレオンチャーチ、ビーコンストリートユニオン、オルフェスといったグループにも通じる凝ったサウンドプロダクションが魅力、オルガン、ピアノ、ハープシコード、キーボード類を三人のメンバーが操り、チェロ、トランペット、リコーダー、パーカッションを配し、クラシカルにドリーミーにメロウに迫りくるソフトサイケサウンドに、ハードエッジなファズギターにアコギ、巧みなギターワークが地味ながらも実に味わい深いサウンドが展開される。
ギターのボブ マーゴリンはこの後、マディ ウオーターズ、ジョニー ウィンター等と活動、ブルースギターの名手として高い評価を得てる。
18 LONG RYDERS/STATE OF OUR REUNION LIVE 2004 07(PRIMA)SID021
米、オルタナカントリー、ライブ音源。
ペイズリーアンダーグラウンド一派の中ではランク&ファイルと並んでカントリー色が強かったロングライダーズ、フロントマンシド グリフィンはグラム パーソンズ研究家として知られ、多数の著作を著す学究肌のミュージシャンなのである。
本作は04年の再結成ライブ、英国での3公演から選曲、バーズの「ロックンロール」で幕を開け「10-5-60」で閉める、3管のホーンセクションを加えての痛快なカントリーロックンロールを展開、スティーブン マッカーシーとグリフィンのギターの絡みが最高!
19 LA'S/CALLIN'ALL ブート
英、NW、ギタポ、ライブ音源。
91年マンチェスターでのライブ音源16曲に4トラック録音のデモ4曲付き。音質酷し、ファン向けのコレクターズアイテムだけの代物。

20 SCOTT FAGAN/SOUTH ATLANTIC BLUES 15(SAINT CECILIA KNOWS)CEC003
米、フォーク、SSW、オリジナルリリースは68年ファースト作にダウンロード5曲付。
米アトコのアナログ盤はフォーク、SSW系のアナログ盤漁ってた頃に入手、ボートラ付きCD化という事で本盤入手したのだが、意味無しダウンロードという事でがっかり、普通にCD収録して欲しかった。
元々はブリルビルディング系の作家志望でドク ポーマスに師事したという。しかし、その端正なルックスにやや震え声の魅力的な低音ヴォイスは裏方にしておくには惜しいとアトコよりアルバムデビューしたのが本作、貼付シールにはスコット ウォーカー、デビッド ボウイ、ルー リード、ティム ハーディンが引き合いに出されてる。何れも大好きなアーティストばかり、押さえないわけにはいかないでしょう!
豪華なブックレットに新事実、何とマグネテイックフィールズのステフェン メリットが、フェイガンの息子だというから吃驚!
フェイガンは75年RCAよりもう一枚アルバムリリースしてる。アナログ入手済み。
今週は25枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY307 2016.1126-1202

1 サウンズオブモディフィケーション 15(VIVID)VSCD5580 紙ジャケ
米、サイケ、ソフロ、オリジナルリリースは70年(68年録音)唯一作。
70年代にソフロ系SSWアルバム他を3枚リリースしたロバート ジョン ギャロが、プロデュース、アレンジ、コンポーズを手掛けたプロジェクト?グループサウンズオブモディフィケーション、キーボード、ホーン奏者を含む5人編成、美しいコーラスワークに流麗なストリングスが煌めくソフロナンバーに、ブリテイッシュサイケに通じるギミック、エフェクトの効いたソフトサイケナンバーとなかなか完成度の高い一枚!

2 レイヴン/レイヴン 16(VIVID)VSCD5664 紙ジャケ
米、ハード、サイケ、オリジナルリリースは69年ファースト作。
同じ鴉の意のクロウという似たような音楽性を持つグループもいるが、本作のレイヴンは69年に僅か二枚のアルバムを残したグループ、本作は大手のコロンビアからのリリース、便乗?で、自主制作レーベルより67年録音のライブ盤がリリースされてるが、こちらはかなりのレアアイテム。
後にビッグブラザー&ザホールディングカンパニーやアメリカで活動するキーボードのジェイムズ カリーレ、スティーブミラーバンド、数々のセッションワークで知られるドラムのゲィリー マラバーといった腕利きによる5人組。ブルースをベースとした骨太なサウンド、ジャムインプロビゼーションを交えたテクニカルな演奏、熱きアメリカンブルースロックの好盤。

3 BOLDER DAMN/MOURNING 13(SHADOW KINGDOM)SKR064CD
米、ヘビーサイケ、オリジナルリリースは71年自主制作唯一作。
のっけからガツンガツンと大木を斧でぶっ叩いたかの様な重量感あるリフで畳みかける怒涛のヘビーサイケサウンド、ブラックサバスの影響多し、MC5やGFRといった轟音バンドも思い浮かぶ、昔から人気の高い一枚というのも納得、いまいちピンと来ないジャケ以外は申し分無し、ラストは16分に及ぶ大曲で黒魔術的胡散臭さ満点のアングラサウンドで圧巻!
4 V.A/THE STIFF RECORDS BOX SET 91(STIFF)STIFFBOX1 4CDBOX
英、パンク、NW、レーベルコンピ盤4枚組全96曲。
英パンク、NWシーンのDIY精神にのっとったインディーズの礎、手本となった最重要レーベルステイッフ。ニック ロウ、イアン デューリー、エルビス コステロ、レックレス エリック、グラハム パーカーにディブ エドマンズ、ミック ファーレン、イアン ウォリース、ジョナ ルウイ、ミッキー ジャップ、ビリー ブレムナー、ピンクフェアリーズ、ドクターフィールグッドといったベテランにダムド、アドヴァーツ、タイラギャング、ルー ルイス、ジョン オトウェイ、ルーガレーター、ヨッツ、メンバーズ、マッドネス、エニートラブル、テンポールチューダー、ベルスターズ、リーナ ラビッチ、トレーシーウルマン、ポーグス、メイキンタイム、アンタッチャブルズといった人気アーティストに、米のリチャード ヘル、ディーヴォ、レイチェル スウィート、総勢60組のアーティストのシングルをコンピした重要箱!
5 GUIDED BY VOICES/BOX 95(SCAT)SCAT40 5CDBOX デジパック
米、オルタナ、ロウファイ、初期作品集5枚組。
元教師ロバート ポラードを中心とするグループで再結成を挟み現在まで30枚以上のアルバム、ポラードはソロとして20枚以上、別ユニット他で50枚以上のアルバムをリリースするワーカーホリックミュージシャン。本BOXはガイデッドバイヴォイシズの87年ファースト「デビルビトウィーンマイトース」、87年セカンド「サンドボックス」、89年サード「セルフインフリクテッドエイリアルノスタルジア」、90年4作目「サムプレイゼフライゴットスマッシュド」、88-93年未発表音源集「キングシットアンドザゴールデンボーイズ」をパック。92年5作目「プロペラー」をプラスした6枚組のLPBOX盤もリリースされてる、入手済み。
多作家ポラード、次から次へと湯水の如く浮かんでくる楽曲を惜しげもなくガンガンレコーディングしていく、もっと練り込んでいけば物凄い曲に仕上がるだろうに、二分前後でポンポン放り投げる潔さ、これぞGbVの真骨頂、格好良さなんだよね!
パート2
6 WHO/THE ULTIMATE COLLECTION 02(POLYDOR)065 300 2 3CD デジパック
英、ロック、64-82ベストコンピ盤二枚組全40曲にボーナスディスク付。
気になるボーナスディスクの内容は、「サブスティテュート」の一部歌詞違いのレアなUSシングルヴァージョン、「アイムアボーイ」のアーリーヴァージョン、「ハッピージャック」の未発表アコーステイックヴァージョン、「マジックバス」のUKシングルヴァージョンに74年ライブ音源CDV「ババオライリー」「サブスティテユート」と美味しい内容。
フーの名曲群を年代順に収録したベスト盤としてグループの変遷を俯瞰出来る、初心者からマニアまで楽しめる優れ盤!
7 サムアップルパイ/サムアップルパイ登場 13(エアーメイルレコーディングス)AIRAC1687 紙ジャケ
英、ブルース、ハード、オリジナルリリースは69年ファースト作。
ロック黎明期の60年代末、目まぐるしく変貌する英ロックシーン、ビート、サイケ、ブルースとトレンドは変化し、時代はハード、ヘビー、アート、プログレッシブへと混迷を深める中登場したサムアップルパイのブルース色濃い音世界にハード、ヘビーな要素を導入したスタイルは翌年のブラックキャットボーンズにも通じるものがある。後半に進むにつれ、アングラ度が増していく。フルート、ピアノ、ブラスを導入したジャズロック的展開、スライドギターが効果的な暗く重たいヘビーブルースナンバーが確かな技量で迫り来る燻し銀アルバム!
8 RENATO ZERO/ICARO 88(RCA)ND71553 2CD
伊、カンタトウーレ、ポップス、オリジナルリリースは81年ライブ音源。
初期のメイクを施した中性的イメージの変態シンガー?から本格的ポップシンガー、人気男性シンガー、パフォーマーへと成長した姿を収めたライブ盤、とにかく黄色い矯声が凄まじく、レナート、レナートの歓声、熱狂的な女性ファンのオーディエンスの前で、ミュージカルで鍛えたシアトリカルなヴォーカル、パフォーマンスで煽るレナート、イタリアの沢田研二的存在か?ラストの観客の大合唱が印象的なライブ盤。
レナート ゼロは以降、多数のアルバムを発表し、今やイタリアンポップス界の重鎮である。
9 JUMBO/LIVE 92(MELLOW)MMP108
伊、プログレ、再結成ライブ音源。
前掲に続きイタリアもののライブ盤、やはり男はロックだぜという事でジャンボ、72-73年三枚の名作アルバムリリースするも解散、当ブログでは三枚とも紹介済み、イタリアンロック好きには堪らないグループ。83年一旦再結成しアルバム録音するもリリースに至らずお蔵入り、92年本作と同じメロウレーベルより蔵出しリリースされてる。
89年後半に再再結成し、90年2月パリでの1回限りのコンサート音源を収録したのが本作、アルヴァーロ フェッラのダミ声で幕を開け、唸るベース、重たいドラム、鋭いギター、流麗なフルート、キーボード、めくるめくジャンボサウンドに一気に引き込まれる。好き嫌いが別れそうな癖のある声ではあるが、フェッラのヴォーカルの熱量はこれぞイタリアンロック!
10 DMZ 04(SEPIA TONE)STONE1
米、パンク、ガレージ、オリジナルリリースは78年ファースト作。
モダーンラバーズ、リアルキッズと並ぶボストンパンクのレジェンドDMZ、モノマンことジェフ コノリーが率いたグループだが、このメタルグループみたいなダサダサなジャケでパンクファンに敬遠された一枚、自分もそうで結局、手が出ず我が家のレコ棚にはボンプ、クリムト盤が収まってるだけだった。
何故か本作のプロデュースはタートルズのフロー&エディ、サイアーからリリースされたオリジナル盤は平板な音で不評であった、このリミックスCD版では随分改良されDMZ本来のタイトでダイナミックなガレージパンクサウンドが堪能出来る。
ソニックス、ウェイラーズ、トロッグスのカバーからも伺われる様に、モノマンがガキの頃に夢中になってた60ズガレージパンクへの熱い想いをがむしゃらにぶっつけた完全無欠のパンクアルバム!
ジャケに騙されちゃ駄目よ!
モノマンのこの後のライアーズも名グループ!
パート3
11 GRAPES OF WRATH/SEPTEMBER BOWL OF GREEN 87(CAPITOL)C2 93337
加、ギタポ、オリジナルリリースは85年ファースト作にボートラ4曲付。
サード作の「ナウ&アゲイン」が我が国でもリリースされてるので、良く知られてるグレープオブラスだが、このファーストにセカンドは意外と入手困難、あまり見掛けない、サード以降は結構、転がってるんだけど。
クリス&トムのフーパー兄弟を中心とするトリオ編成、ビートリッシュなメロディー、ヴォーカル、ハーモニー、爽快なギター、少し翳りを帯びた青春胸キュンポップス、なかなかの好グループ!
12 WALLENSTEIN/COSMIC CENTURY 94(SPALAX)14872 デジパック
独、プログレ、シンフォ、オリジナルリリースは73年サード作。
ジャーマンプログレシーンにおいてシンフォグループというのは案外少ない、ノヴァリス、ヘルダーリン、フェイスフルブレス、マイソス、ラムセス、ウィンドにこのヴァレンシュタインが主だったところだろうか、アルバム単体ではもっとあるんだろうけど。
本作は新たにヴァイオリニストを加え5人編成となってのアルバム、自らシンフォニックロックオーケストラと称した彼等の標榜するサウンド、自信の顕れが表出した最高傑作と評されてる。叙情的なメロトロン、ピアノ、キーボードに新加入のヴァイオリン、繊細なヴォーカルが産む美しきシンフォニックロック!
いまいち不鮮明で解りづらいジャケも何だか良く見えてきた?
13 CURVED AIR/LOVECHILD 90(CASTLE)ESSCD024
英、プログレ、未発表音源集。
何故かファーストとほぼ同じジャケなのでスルーしがちになるが、本作は73年の「エアーカット」リリース後に録音された未発表音源集。
アルバム用のデモ音源集になるのだが、クオリティは高い。全8曲35分程のヴォリューム、トラッドのカバー1曲を含み、ソーニャ クリスティーナ作4曲、エディ ジョブソン2曲、カービー1曲、各々の作曲者がイニシアチブを取り、ヴァラエティ豊かな内容となってる。クリスティーナ作は従来のカーブドエアー節のヴォーカルナンバー、ソーニャの魅力的な声が映える。カービー作はブルージーなギターソロがメインのインスト、そしてジョブソン作はピアノインストナンバー、まだ10代のこの天才ミュージシャンはロキシーミュージックへと引き抜かれ、グループは一旦解散。
14 ALBERTO RADIUS/RADIUS 03(BMG)74321985062 ペーパースリーブ
伊、プログレ、オリジナルリリースは72年ファースト作。
フォルムラトレ在籍中にリリースされたソロアルバム、プロデュースはロー アブラチェクという偽名でクレジットされたルチオ バティステイ、トレの同僚トニー チッコ、後にイルヴォーロを結成するヴィンチェ テンペラ、ジャンニ ダッラリーオ、アレアのデメトリオ ストラトス、ジュリオ カピオッツオetcといった怱々たるメンバーによる一大セッションアルバムとなっている。
ジミヘンを意識したラディウスのヘビー&ハードエッジなギターが唸りをあげるサイケデリックでヘビーなジャズロックプログレアルバムに仕上がってる。
ストラトスが一曲ヴォーカルを取ってるが、英詞でわりと普通のヴォーカルスタイル、これはこれで貴重?
15 DAVE KUSWORTH AND THE TENDERHOOKS/HER NAME IN THE ROCKS 01(WAGGING DOG)WAGG003
英、NW、ネオサイケ、テンダーフックスを率いてのファーストミニアルバム。
ニッキー サドンとのデュオユニットジャコバイツの活動で知られるディヴ カスウォース、ジャコバイツと並行してソロ名義やバウンティハンターズやテンダーフックスを率いて活動してるが、その全容はなかなか掴めない、我が国ではあまり知られてないのが実情。ストーンズ、NYドールズ、ジョニー サンダース直系のバッドロックンロール、よれよれのロックンロールに泣きのロッカバラッド、カスウォースのブロークンハートなヴォーカルが良いんだよね、泣ける!
パート4

16 キース クリスマス/ピグミー 12(P-VINE)PCD17544
英、フォーク、SSW、オリジナルリリースは71年サード作。
ファースト、セカンドに続いてセプテンバープロダクション、サンディ ロバートンプロデュース三部作の最終作、アナログではA面にあたる前半部はギター弾き語りに、ニック ドレイクも手掛けてるロバート カービーのストリングスが控え目に添えられるといったスタイル、キースのジェントルで内省的なヴォーカルが沁みる。後半部はバンド編成、マイティベイビーのロジャー パウエル、イアン ホワイトマンにエイドリアン ショウ、ロッド アージェント、ファジー サミュエルズ、コンラッド イサドアetcが参加、英フォークロック路線にプログレ、ジャズ、サイケティストが加わった魅力的な音世界!
17 ジョン ケイル/舞踏曲「ニコ」 98(ワーナー)WPCR5304 スリップケース付き
英、ロック、24作目。
88年に亡くなったニコの没後10年、彼女の詩と音楽にインスピレーションを受けたオランダの振り付け師エド ウーベが手掛けたバレエにケイルが音楽を担当したもの。
ジョン ケージに師事したケイルは元々現代音楽家として嘱望された逸材、ルー リードと逢わなければ?
そういうわけで現代音楽家ケイルの大作、荘厳な雰囲気のスコア、ニコへの想いは如何なるものか?ケイルの心境を思うと複雑な思いが沸いてくる作品。
18 ヴィクトリア ウィリアムス/ルース 94(イーストウェスト)AMCY768
米、SSW、ポップス、サード作。
難病多発性硬化症を患いながらも地道に音楽活動する健気な姿に心をうたれる。本作の前年にはチャリテイアルバムがリリースされ、ヴィクトリア ウィリアムスの存在と病魔に犯されてる事を知らしめる事となる。そんな中リリースされた本作には、REMのピーター バック、マイク ミルズ、ジェイホークスのマーク オルソン、ゲイリー ロリス、ソウルアサイラムのディヴ バーナー、ウィリアムズブラザーズ、ヴァンダイク パークスetcが参加、マーク オルソンとは本作が出会いであったのだろうか?後にオリジナルハーモニーリッジクリークデッバーズを結成し、公私を共にする。現在は別れてしまったとの事だが。
とにかくヴィクトリアのコケテイッシュなヴォーカルが堪らない、サッチモの「ワンダフルワールド」をカバーしてるが、これが絶品で、後のスタンダードカバーアルバムの嚆矢となる。

19 EAST OF EDEN/MARCATOR PROJECTED 08(ESOTERIC RECORDINGS)ECLEC2033
英、ジャズロック、サイケ、オリジナルリリースは69年ファースト作にボートラ3曲付。
邦題「世界の投影」の紙ジャケでも所持してるが、ボートラ付きとあって入手。
ディブ アーバスのヴァイオリンを中心とするグループ、ジャケのイメージ通りの妖しいアングラロック、混沌とした雰囲気がまさしくあの時代のサウンド、管楽器、鍵盤、メロトロンを導入し、時にメロウにブルージーに迫り来るアートロック、プログレサイケ調にエスノ、オリエントなティストも漂う、何でもありの面白音楽!
ボートラは未発表デモ音源に「霧の8マイル」のカバーライブ音源。

20 TULLY (CHAPTER MUSIC)CH99 ペーパースリーブ
豪、ロック、アシッドフォーク、オリジナル70年ファースト作にボートラ1曲付。
当ブログではセカンド、サード、ライブ音源、エクストラディション、リチャード ロックウッドのソロ音源集とタリー関連ものを紹介してきたが、漸く肝心のファースト作を入手出来た。
ライブ盤でも伺われる様に、当時のオーストラリアでは最先鋭のサウンドを誇った革新的なグループタリー、現代音楽風のアプローチも見られるプログレ的エッセンスに、ソフロ、サイケ、アシッドフォーク調サウンドが何とも良い雰囲気なのだが、どっか反骨的な精神、ロック魂を感じるのが、単なる軟弱グループとは違う聴き応え有り、名作!
今週は29枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY308 2016.1203-1209
1 STEVE WARNER 15(EARTH)EARTHCD009 ペーパースリーブ
豪、SSW、アシッドフォーク、オリジナルリリースは79年唯一作。
76年に録音され、タスマニアのキャンドルレコードよりリリースされた唯一のアルバム。かなり前にダウナーアシッドフォークの名品みたいなコメントを見た気がするので、ひたすら暗い自家中毒的なアシッドフォークを予想してたのだが、さほど暗さは感じない繊細なアシッドフォークという感触でエリオット スミスが引き合いに出されるのも納得なサウンド、時代遅れのヒッピー青年が砂漠の片隅でギターを紡ぎ、掻き鳴らし、優しく歌いかけるといった風情、ピアノ、シンセ、マンドリン、フルート、マラカスによる簡素なバッキングも妙、ピュアで瑞々しい感性が眩しくもある一枚!
2 TUCKER ZIMMERMAN/TEN SONGS BY 15(ONWARD)RETRO971
英、SSW、アシッドフォーク、オリジナルリリースは69年ファースト作にボートラ7曲付。
英の宅 八郎ことタッカー ジンマーマン、米生まれ渡英してリリースしたファースト、原盤はリーガルゾノフォン、オリジナルアナログ盤で所持してるが、ボートラに釣られて入手。
ボウイもリスペクトするアーティストで、「スペースオディテイ」と同年のリリース、トニー ビスコンティがプロデュースにバックとがっちりタッグを組んだアルバム、一部リック ウェイクマン、エインズリー ダンバー、ショーン フイリップスが参加。12弦ギター弾き語りを基調にビスコンティのベース、エレキ、リコーダーによるアシッドフォークナンバー、バンド編成でのトラックは米西海岸風アシッドサイケなフォークロックサウンドで、ジンマーマンのいなたくぶっきらぼうなやさぐれヴォーカルがアングラ臭プンプン漂う、暗い風貌通りのアルバム!
この後、ジンマーマンはベルギーへと渡りドイツのレーベルよりアルバムリリース、セカンドは英のビレッジシングレーベルからもリリースされてる。
3 PIG RIDER/THE ROBINSON SCRATCH THEORY 15(GUERSZEN)GUESSCD058 2CD
英、NW、サイケ、80-86コンピ盤二枚組全26曲。
激レア盤の発掘リイシューで知られるスペインのゲルセンレーベルよりとんでもないものがリリースされた、ピッグライダー、コリン キッチナーとジョン メイズを核とするグループ、結成は60年代後半、68年に初録音、70年代にアセテート盤制作、73年から75年にかけて、伝説の自主制作レーベルデロイより二枚のアセテート盤を各10枚程制作、激コレクターズアイテムとして超高値で取引されてるとの事、こちらもゲルセンよりCD化済み、更に80年代には自宅録音の6本のカセット作品をリリースしている、本作はこれらの中から編纂されたコンピ盤。
殆んど一発録りの宅録作品、核となるトラックをエレピで録音、更にキーボード、シンセ、エフェクト類を被せ、ギター、ヴォーカル、ノイズをダビングするというスタイルで、リビングにある叩けるものをパーカッションとして用い、ガジェット感にチープなピコピコサウンド、ヘロヘロなヴォーカル、サイケデリックでアシッドフォークな面白音源!米ではなく英にもこういったアーティストが埋もれてた事に驚き!
4 RICHARD HARRIS/MACARTHUR PARK 97(SPECTRUM)HMNCD002
アイルランド、英、俳優、ポップス、ベストコンピ盤全17曲。
英国を代表するアイルランド出身の名優リチャード ハリス、俳優としての実績はいうまでもないが、歌手としてもヒット曲を持つ歌う映画俳優として有名。アルバムはどの位リリースしてるのであろうか?アナログ盤を5枚程所持してる。
我が国では70年代後半にドナ サマーがカバーしディスコシーンでヒットした「マッカーサーパーク」を60年代にヒットさせたのがリチャード ハリス、ジミー ウェッブ作の名曲で、本作は全編ウェッブ作品で占められたコンピで、68年のファーストアルバム「トランプシュリンプ」も全編ウェッブ作のアルバムであった。
役者らしいハリスのドラマ性を感じる渋いヴォーカルにウェッブの格調高い楽曲が気品ある一枚!
5 TERESA STRATAS/THE UNKNOWN KURT WEILL (NONESUCH)7559 79019 2
加、クラシック、歌曲、オリジナルリリースは81年作。
切っ掛けは何であったろうか、デビッド ボウイのアラバマソングか、ハル ウィルナープロデュースの「星空に迷いこんだ男~クルト ワイルの世界」であったろうか、ブレヒト=ワイルにはまり音源を入手した事があった、ロッテ レーニャ、ウテ レンパー、アンナ プリュクナル、マーク アーモンドにネオサイケのアーテリーまで、そして本作テレサ ストラータスのアナログまで色々入手した。
本作には「アラバマソング」「三文オペラ」「マックザナイフ」「セプテンバーソング」といった有名曲は無い、当時ワイルの知られざる曲、マイナーな曲をカバーしたアルバム、ピアノ伴奏のみでテレサのソプラノヴォーカルが綴っていく!
パート2
6 MESSAGE/FROM BOOKS AND DREAMS (BELLAPHON)288 09 119
独、ハード、サイケ、オリジナルリリースは73年セカンド作。
まず、この強烈なジャケでしょう!マークラックサンドロムと並ぶジャーマン二大髑髏アルバム、米のヨゼファスでロック三大髑髏ジャケ!
元ネクターの英国人アラン マードックと同じく英国人のトミー マッギガンを中心に結成されたメッセージ。本作はメアリー スチュワートの小説を題材にアナログではA面の夢、B面の悪夢という2つの大曲をメインとしたコンセプト作仕立てのアルバム。ジャケのイメージ通りのおどろおどろしいダークサイケ、不気味なナレーションに不快音のオープニングから、ブンブン響くベース、リズム隊に突き抜けるギター、ジャージーなサックス、時に不穏なメロトロン、英詞によるヴォーカルが畳み掛けてくる混沌としたハードサイケデリックアルバム!
不気味ジャケコレクター?には外せないアイテム、アングラハードロックファンにも欠かせない!
7 HABIBIYYA/IF MAN BUT KNEW 07(SUNBEAM)SBRCD5043
英、エスノ、サイケ、オリジナルリリースは72年唯一作にボートラ5曲付。
70年代初期の何でもありのロック界、ジャズ、ソウル、クラシック、フォーク、カントリー、あらゆるジャンルを飲み込む雑食のロックが目を付けたのが、第三世界の音楽、所謂民族音楽というわけ。本作はマイティベイビーのマイク エバンス、ロジャー パウエル、イアン ホワイトマンにカリフォルニアのヒッピースーザン&コンラッド アーチュレッタ夫妻と結成したユニットグループハビビヤ、アイランドの廉価版レーベルヘルプからのリリース、同じくヘルプからリリースされたトラフイックのスティーヴ ウィンウッドのサードワールドと並んで、この分野の代表アルバム!
アラビック音楽にインド、オリエントのエッセンス 漂うエスノサイケ、ピアノ、オルガン、オーボエ、フルート、ビオラ、バンジョー、チター、マンドラ、琴、尺八が織り成す瞑想的なサウンドに呪詛的なヴォーカル、たちまち回りの空気を異化する音楽!
8 JUAN DE LA CRUZ/HIMIG NATIN 06(WALHALLA)WH90361
フィリピン、サイケ、ハード、オリジナルリリースは73年セカンド作にボートラ4曲付。
スピードグルー&シンキのジョーイ スミスがフィリピンへ帰郷し結成したグループ、ファンデラクルーズ、前作の5人組より3人組スミス、ウィリー ゴンザレス、マイク ハノポルへとシェイプアップ、よりソリッドにシャープにハードにヘビーにと、スピードグルー&シンキの精神、サウンドを継承するセカンド作、ヘビーに引きずるリズム隊、ハードエッジに斬り込むギター、歌心溢れるヴォーカル、東南アジアの蒸せかえる熱気と共に迫り来るアジア圏ヘビーサイケ最高峰の一枚!
9 ピクシーズ/ドリトル 89(日本コロムビア)CY3531
米、オルタナ、グランジ、セカンド作。
NW小僧だった頃、レコ屋に行っては雨後の筍の如く、続々リリースされるNW系バンドのレコチェックするのが、楽しみであった。しかし、財力が無い中、何でも手を伸ばす訳にはいかず、決め手となるのはレーベル、所謂レーベル買いというやつ、バウハウス、コクトーツインズ、デッドカンダンス、バースディパーテイ、ザザを擁した4ADは鉄板、その4ADが契約した米のグループという事で話題となったのがピクシーズ、「サーファーローザ」をゲットし、たちまち魅せられ、以降、7インチからブートまで、アナログを押さえていった。
本作はピクシーズの名を世界に知らしめた傑作アルバム、名曲「モンキーゴーズトウヘブン」を含む、申年の最後を締め括るにバッチリのアルバム!
10 ジェーン バーキン/いつわりの愛 99(マーキュリー)PHCA2024
仏、ポップス、オリジナルリリースは90年7作目。
セルジュ ゲーンズブルがコンポーズにジャケ画を手掛け、コラボ作の最後となった作品、翌年ゲーンズブル死去、10余年に亘る二人の蜜月時代に、20年以上に及ぶ音楽的パートナーシップが生んだ数々の作品は不滅。
ゲーンズブルの意のままになる英国娘バーキンが、80年にゲーンズブルと離婚を経て、私から公へと関係性が変化する中、アーティスティックに成長した80年代のアルバムには重要作が多い、バーキン自身そんな事は関係無く、真に歌う事、演技する事が好きな、一種天然的なコケットさがこの人の魅力!
パート3
11 デイヴイッド エリオット/ソリッド グラウンド 14(ワーナー)WPCR15715
英、SSW、オリジナルリリースは73年セカンド作。
本作は英原盤アナログで所持してるが、驚きの国内盤リリースで入手。ワーナーの名盤探検隊シリーズは納得のラインナップだが、新シリーズになってネタ切れか?こんなものがリリースされるなんて一部マニアしか喜ばないでしょう?しかも税抜き1143円の破格値、中古買いなのでその半値位でゲットしたんだけど。
コチーズ、アンクルドッグ、ヴィネガージョーといった英国のアメリカンサウンドなグループのメンバーが参加、更にデビッド フッド、ロジャー ホーキンス、ピート カー、バリー ベケットらマスルショールズ系のミュージシャンが参加。
ライトスワンピーなサウンドにやや鼻にかかった高音ヴォイスのエリオットの温かいヴォーカルが沁みる!
ファーストも入手しなければ!
12 HAL PARIS/JUST GOIN' CDR
米、フォーク、SSW、70-72年録音蔵出し音源。
ハル パリスといってもピンと来ないが、カントリーファンクのメンバーという事で入手。トム スノウが在籍していたカントリー、ジョン ヘンリー カーツが在籍していたカントリーコーリションなんてグループも思い浮かぶ。
カントリーファンクは東のバッファロースプリングフィールドと称されたフォークロックカントリーグループ。
そのカントリーファンクの同僚CJ アレンにジム ランハムが参加、ハルのギター、ピアノの弾き語りをバックアップ、ハルの甘い歌声にカントリーポップ調の楽曲、音質があまり良くないのが残念。
カントリーファンク用に制作された楽曲との事だが、カントリーファンクにはお蔵入りとなったセカンドの「ズマ」というアルバムがあるのだが、関連はどうなんだろう?
13 SUTHERLAND BROTHERS & QUIVER/THE VERY BEST OF 02(COLUMBIA)507709 2
英、ロック、ポップス、ベストコンピ盤全20曲。
イアン&ゲビン サザーランド兄弟によるグループ、72年「サザーランドブラザースバンド」、72年「ライフボート」、ティム レンウィック、ブルース トーマスを中心とするクィーバーと合体して73年「ドリームキッド」、74年「ビートオブザストリート」、75年「リーチフォーザスカイ」、76年「スリップストリーム」、サザーランドブラザース名義での79年「ホエンザナイトカムズダウン」、7枚のアルバムから年代順に収録したコンピ盤。ロッド スチュワートの代表曲「セイリング」のオリジナルがこのグループ、英国らしい気品に満ちたサウンド、燻し銀のブリテイッシュロック、地味だけどこういうグループが英ロックを奥深くしてる。
14 WHO/ENDLESSWIRE 06(UNIVERSAL REPUBLIC)B0007846 10 デジパック DVD付
英、ロック、再結成第一段、16作目。
スタジオ作としては24年振りのアルバム、ピート タウンゼント、ロジャー ダルトリーにザック スターキー、ピノ パラディノ、ジョン バンドリック、サイモン タウンゼントがクレジットされてる。ゲストにビリー ニコルスの名もある。
04年に初来日、08年には単独公演来日とフーが盛り上がってた頃から、既にかなりの年月が過ぎてしまった。本作には06年仏リヨンでのライブDVD5曲30分余りの映像が付されてるが、当たり前だが老けた二人、ラフ過ぎる衣装、余裕のステージング、往年の凄味は感じないが貫禄はある。
アルバムはピートのソロ作でロジャーがヴォーカルをとってるといったら身も蓋もないが、フーって元々そういうグループだけど、やっぱ違うんだよね、ジョンにキースかなってのはあるけど、それは無理な話しなので、、、
15 SINGING END/LISTEN TO THE MUSIC! 05(LONG HAIR)LHC00041
独、ビート、サイケ、ソフロ、オリジナルリリースは70年唯一作にボートラ2曲付。
ジャケからはジャズロック風のイメージだが、ビート、ハーモニーポップグループシンギングエンド、きらびやかなストリングスを配したフラワーサイケポップ、ソフロナンバー、英詞による楽曲群はビージーズやホリーズといったグループを想起させる。ドイツといえば直ぐにクラウトロックを連想するが、こういう爽やかなグループも幾つか存在した。
グループはこの後、ターンドレザーへと発展、こっちは多分クラウト系?聴いた事ないけど。
パート4
16 SOURDELINE/JEANNE D'AYME (GUERSZEN)GUESSCD032
仏、トラッド、フォーク、オリジナルリリースは77年セカンド最終作。
フォークダブと並ぶフレンチレアフォークの名グループ、ファースト同様印象的なスリーブに包まれた一枚。実は随分前に同じくガレセンよりリリースされたアナログ盤を入手していたのだが未聴のまま、CDでも見掛けたので入手。
古楽器をフューチャーした中世音楽風トラッドフォークサウンドが持ち味、麗しい女性ヴォーカルに穏やかな男性ヴォーカルと厳かなハーモニーが生み出す幻想的な雰囲気に、呪詛的なパーカッションに弾む楽器群、凛とした女性ヴォーカルが生む祝祭的なナンバー、土着的でプリミティブな魅力的なサウンドが素晴らしい、ヨーロピアンストレンジフォークの名作!
17 UNSPOKEN WORD 10(WOUNDED BIRD)WOU3335
米、ロック、サイケ、オリジナルリリースは70年セカンド最終作。
本グループの68年のファースト作のアナログ盤は入手したのだが、このセカンドは入手した記憶が無い、珍しくも高くもないアイテムだったので、忘れてるだけかもしれない。
メジャーのアトコレーベルからリリースされた本作はセルフタイトルを冠した心機一転の一枚。女性含む5人編成、ジェファーソンエアプレインやコールドブラッドに近いスタイルのサウンドを指向。デデ嬢のジャニスタイプのヴォーカルとやや渋の男性ヴォーカルの男女ツイン体制。JAタイプの痛快なナンバー、男性ヴォーカルによる10分近い本格的なアルバート キングカバーのオルガンブルース、ロックンロール、アコギカッティングが心地良いツインヴォーカルフォークロック、ファズギターがうねるサイケナンバーと70年代初頭のごった煮サウンドが悪くない。
18 JEFF BECK GROUP/BECK OLA 04(EMI)7243 5 78750 2
英、ロック、オリジナルリリースは69年セカンド作にボートラ4曲付。
第一期ジェフベックグループの第二段、ベックにロッド スチュワート、ロン ウッド、ニッキー ホプキンスが正式メンバーとして迎えられ、ミッキー ウォーラーからトニー ニューマンへとドラムがチェンジ、来るべきヘビーロック時代への先鞭となった革新的なアルバム、初期ベックの代表作。
次々とトリッキーなフレーズを繰り出すベック、負けじと熱いヴォーカルで返すロッド、バンド全体が丁々発止、スリリングな絡み合いにゾクゾクする。この頃のロッドは最高!
19 MICKEY JUPP/OXFORD 97(LINE)9 01343 CDR
英、パブロック、オリジナルリリースは80年サード作。
燻し銀ブリテイッシュロックバンドレジェンドを率いたミッキー ジャップ、グループ解散後はソロに転じ、ファースト作はステイッフレーベル、我が国からもリリースされ話題となった。
本作のプロデュースはゲビン&イアンのサザーランドフラザーズ、レジェンド時代の同僚ボブ クールター、後にドクターフィールグッドのディブ ブロンズ、フックフットのイアン ダックと渋い面子がバックを固め、ニューオーリンズ風、ブギウギ、軽妙なジャップ流パプロックがご機嫌!
20 COMSAT ANGELS/WAITING FOR A MIRACLE 15(EDSEL)EDSK7086 2CD
英、NW、ネオサイケ、オリジナルリリースは80年ファースト作の二枚組拡大盤。
一枚目はアルバムにボートラ4曲付き、二枚目は7曲のボートラにジョンピールセッション8曲。
アナログ、プラケ、BOXに次いで決定版的ブツを入手。
タイトなリズムセクション、クールなヴォーカル、熱きバンド然とした愛すべきB級グループコムサットエンジェルス、「インデペンスデイ」「ウェイテングフォーミラクル」「トータルウォー」の流れが最高!
今週は5枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY309 2016.1210-1216
1 LYNN BLESSING/SUNSET PAINTER (FALLOUT)FOCD2075
米、ジャズ、オリジナルリリースは69年唯一作。
フォールアウトからリリースされてるし、ジャケからてっきりSSWアルバムかと思ったのだが、イージーリスニングなジャズサウンドで肩透かしの外し盤。
アドヴァンスメントの一員であったヴァイブ、ハモニカ奏者リン ブレッシングのソロアルバム、プロデュースはジャズミュージシャンポール ホーン、フライングブリトーブラザーズのスニーキー ピート、アソシエイションのウルフガング メルツ、リーブスのジョン ベック等が参加。
メロウグルーブといえなくもないが、イージーリスニングに毛が生えた様なインストでビートルズ、ボブ ディラン、フー、ジュデイ シル!をカバー、つまらんなインストは。
2 エトロンフールールーブラン/肺ふくらませて (ロクスソルス)LSI2064
仏、アヴァンロック、レコメン、オリジナルリリースは82年4作目。
音源自体はムゼアからリリースされた三枚組CDで聴けるのだが、やはり単体でも欲しいもの、確かアナログ盤未入手だった気もするしね?
女性キーボーディストのジョー ティリオンが加入し4人編成となって、4年振りのスタジオ作、フレッド フリスをプロデューサーに迎え、今までより整合感を増した充実作で最高傑作の呼び声高いアルバム。屈折したリズムにフリーキーに咆哮するサックス、トリッキーなキーボード、野卑でシアトリカルなヴォーカルによるスリリングなサウンド。ダダイズム溢れる精神にバンスキング、フリージャズ、パンク、フリークアウトな要素をぶちこみ、ニヒリズムなユーモア精神でコーティングしたユニークな一枚、傑作!
3 JEAN PIERRE ALARCEN 88(BAILLEMONT)CD884
仏、プログレ、ジャズロック、オリジナルリリースは78年ファースト作と79年セカンド作の2イン1仕様盤。
ネオンローズ~サンドローズを率いたギタリストジャン ピエール アルラサンの70年代のソロ2編をパック。ジャケはファースト作、最初にセカンド作から収録、第3章、20分以上の大作2曲からなるコンセプト作、その後にファーストの6曲を収録。
ギタリストのソロ作に多く見られる弾きまくり、テクひけらかしという事はなくアンサンブルを重視したサウンド、スリリングなジャズロックパートと幻想的なキーボードを軸としたシンフォパートが対比、共存する面白い作品であるが、インストなのが物足りない、この辺好みの問題なのでしようがない?
4 BAUHAUS/IN THE FLAT FIELD 09(4AD)BAUBOX1 2CDBOX
英、NW、ゴス、オリジナルリリースは80年ファースト作の二枚組拡大盤、一枚目はオリジナルアルバム、二枚目はシングル、アウトテイク集等全16曲。
ベガーズバンケット~4ADのオムニバスエディションシリーズは何がリリースされてるのであろうか?当ブログで紹介したバウハウスの「マスク」にフォールを所持してるが、フォールは他に目にした気がするし、カルトも見掛けた。どうせならバウハウスは全作リリースして欲しいところ。
英NWシーンで外せないのがバウハウスでこのファースト、一体何アイテム目だろうか、日英アナログにプラケだから4アイテム目、添付の48ページのブックレットがファンには嬉しい!
5 MANASSAS/PIECES 09(EYEWALL)8122 79850 0 三面ペーパースリーブ
米、サザンロック、スワンプ、71-73アウトテイク、未発表音源集全15曲。
バッファロースプリングフィールド、CSN、CSN&Yのスティーブン スティルスとバーズ、フライングブリトーブラザーズのクリス ヒルマンが中心となって結成されたマナサス、アル パーキンス、ダラス テイラー、ポール ハリス、ジョー ララ、カルビン サミュエルズと怱々たる面子の7人編成、71年のファーストは二枚組、73年「ダウンザロード」と二枚の名作を残してる。そのマナサスの未発表音源というから悪かろう筈は無いのだが、これ程までのクオリティの高さとは、スティルスキャリアの最高調ともいえるマナサス、この頃のスティルスはまことに凄い、70年のファーストソロ作も渋谷系、フリーソウルシーンでもひっぱりだこであった。
カントリー、ブルーグラス、ラテン、ソウル、ジャズ、豊潤なアメリカンルーツミュージックのエッセンスが程よくブレンドされた極上のサウンドが堪らない!
パート2
6 LA MAQUINA DE HACER PAJAROS/PELICULAS 91(MICROFON)C90
アルゼンチン、プログレ、オリジナルリリースは77年セカンド作最終作。
スイヒネリスのチャーリー ガルシアとペスカドラビオソのカルロス カタイアのツインキーボードを中心とする5人編成のラマッキーナデアセルパハロス、繊細なキーボードワークに甘いヴォーカルが織り成すドリーミーでソフト&メロウな世界、緩急メリハリ効いたリズム隊はじめテクニカルなプレイは南米らしい情感に充ちた世界で、イタリアンプログレにも通じる。
この後、ガルシアはセルヒランを結成、アルゼンチンを代表するアーティストとして大成!
7 APHRODITE'S CHILD/IT'S FIVE O'CLOCK 10(ESOTERIC)ECLEC2206
ギリシャ、サイケ、プログレ、オリジナルリリースは69年セカンド作にボートラ6曲付。
ヴァンゲリス パパタナシュー、デミス ルソスという世界的なアーティストを生んだギリシャを代表するロックグループアフロディテスチャイルド、68年の軍事クーデターの煽りを受け出国、フランスを拠点に活動、名曲「雨と涙」がヨーロッパ圏でヒット、本作はフランスでリリースされた二作目、「雨と涙」路線のクラシカルな名曲のタイトル曲のオープニングから、重厚で多彩なヴァンゲリスのキーボードにやや掠れ声のデミスのセクシーなヴォーカルが地中海の空気を運んでくれる。一日の始まりと終わりを描いたコンセプト作仕立てだが、プログレ的というより、バロックサイケポップといった趣き、次作「666」でプログレ度マックス!
8 COMSAT ANGELS/SLEEP NO MORE 15(EDSEL)EDSK7087 2CD デジパック
英、NW、ネオサイケ、オリジナルリリースは81年セカンド作の二枚組拡大盤、一枚目はアルバム収録曲にボートラ3曲付き、二枚目は81年2月3日ジョンピールセッション4曲に、81年4月16日リチャードスキナーショウ4曲にボートラ5曲付き。
先週に続いてコムサッツ、4セットのまとめ買いというわけ、相変わらず地味だが良いアルバム、最終曲「アワーシークレット」は名曲だし、ライブの「トータルウォー」は一緒に口ずさんでしまった。エコバニをモノクロームにしたかの様なサウンドはとにかくカッコイイ、つくづく良いグループだと思う。
9 BARE SOLE/FLASH 15(SOMMOR)SOMMCD026
英、ヘビーサイケ、69年録音発掘音源。
ハル出身という事で、極初期にはミック ロンソンと係わった事のあるメンバーが所属してる4人編成のベアソーレ、結局シングルすらリリースする事なく埋もれてしまった幻のグループの貴重な音源が蔵出し。地を這う様なリズムセクション、咆哮するファズギターにワウワウ、怒涛のドラムソロ、パーカッシブなオルガンに、ダウナーなヴォーカルが織り成す激烈ヘビーサイケサウンドに激渋ブルースナンバーがブルーチアーばりに目茶苦茶格好良し、何故リリースに至らなかったのか不思議?
10 YO LA TENGO/I CAN HEAR THE HEART BEATING AS ONE 97(MATADOR)OLE222 2 デジパック
米、オルタナ、8作目。
84年結成のベテラングループヨラテンゴ、今や米オルタナ界を代表するグループなのだが、その世界的なブレイクのきっかけとなったのが本作、ヴェルベットフォロワーなギタポサウンドにグランジーなノイジーサウンドにエレクトロニカ的な音響処理によって新たなる地平に到達したヨラテンゴの音楽が孤独な部屋を漂う!
パート3
11 BOB THEIL/SONGS FROM THE MARGIN 10(STRAWBERRY RAIN)SR019 デジパック
英、SSW、アシッドフォーク、83-85未発表音源集。
82年のアルバム「ソーファー」が80ズアシッドフォークを代表する一枚として多いに話題となったボブ ジール。本作はセカンドアルバム用に録音されたもの、靄っとした幻想的なサウンドに全体が覆われてる。キラキラ美しいアルペジオをメインとした弾き語りにシンプルなバッキング、深いエコーの奥から谺の様に響いてくるヴォーカル、当時のシーンとは全く隔絶した男の魂の唄がただただ沁みる!
12 デヴィアンツ 04(キャプテントリップ)CTCD496 紙ジャケ
英、サイケ、ハード、オリジナルリリースは69年サード作。
アナログはロゴレーベルのリイシュー盤を所持してる。
英アングラサイケの総本山ノッテイングヒルゲイトの大番長ミック ファーレン率いたデヴィアンツの最終作、この後一旦解散、ファーレンはソロに他のメンバーはトウィンクとピンクフェアリーズを結成する。
何とも如何わしい、悪意のこもったジャケ、ファーレンの真骨頂、オープニングの「ビリーはモンスター」のふにゃけたサウンドに思いっきり脱力する。いかれたロック野郎は思わずニャリの史上最悪の格好良さ、無節操にへらへらだらだら突き進むミック ファーレン、最高にいかしてる、逝っちまってる、本当に逝ってしまって、もう3年以上になる、、、
13 FRANCO BATTIATO/PATRIOTS (EMI)46797
伊、カンタトウーレ、オリジナルリリースは80年10作目。
ルーチョ バティステイと並ぶプログレ系カンタトウーレフランコ バッテイアットの80年代のアルバム、時代はNW、エレポップ的なサウンドにアラブ、オリエント的なワールドミュージックのエッセンスを導入した新生バッテイアットのアルバム、一般的なポピュラリティーを得て人気アーティストへと大成していく、ユーロプログレファンには軽すぎるんだけど、NW小僧上がりなのでこれはこれで良しかな?
14 MARIAN HENDERSON/CAMEO 16(STONED CIRCLE)STCCD3014 2CD
豪、フォーク、SSW、オリジナルリリースは70年ファースト作の二枚組仕様盤。一枚目はアルバム収録曲、二枚目はシングル、コンピ収録曲等レア音源16曲入りのボーナスディスク。
韓国のビッグピンクから紙ジャケでもリリースされてる人気盤、ボートラCD付きとあってはプラケを入手。
アナログ時代米盤良く見掛けるもスルー、米盤はサンディ デニー「フォザリンゲイ」がオミットされていたので、OZオリジナル仕様は嬉しい。他にレナード コーエン、ISBもカバーしてる。まず低音でハスキーな落ち着いた大人のヴォーカルに殺られる。ブリジット セント ジョンやサンディ デニーに通じる唄世界、シンプルながらも表情豊かなバッキングも味わい深い、SSWで多数のアルバムリリースしてるダグ アシュダウンがギター弾いてるのも目を惹く。知られざるOZフィメールフォークの銘品!
15 フリーデザイン/ザベストオブ 00(テイチク)TECW20898
米、ソフロ、ベストコンピ盤全17曲。
17曲中15曲がカバーで占められたベストカバー曲集。
「カリフォルニアドリーミン」「イフアイウェアアーカーペンター」「59番街橋の唄」「ミッシェル」「エリノアリグビー」「サマータイム」「ユーアマイサンシャイン」「雨に濡れても」「ハートに灯をつけて」「ハッピートウゲーザー」という有名曲がフリーデザインの華麗なるコーラスワークによりめくるめくソフロワールドへと、空高く舞う凧の様に爽快!
パート4
16 PENNY DAVIS & ROGER ILOTT/BIRCHGROVE QUAY 11(RESTLESS)RM012 CDR
豪、フォーク、ロック、オリジナルリリースは86年サード作にボートラ4曲付。
83年のファースト作がスペインのガレセンよりリイシューされ、一部話題となったペニー ディビス&ロジャー イロットの男女デュオグループ、現在も活動していて10枚以上のアルバムをリリースしてるみたいだが、殆んど見掛けない、本作も何やら怪しいCDR盤。
瑞々しい男女ツインヴォーカルによる麗しのフォークロック、アコギ、ダルシマー、マンドリン、メロデオン、バンジョー、ブズーキ、ハモニカ、キーボード、ペダルスティール、ホイッスル、パーカッションetcにゲストミュージシャンによるフルート、ヴィオラ、ボンゴ、タンバリンが奏でる繊細で美しい珠玉
の一枚!ペニー嬢のキュートなヴォーカルがとにかく魅力的。セカンドも是非入手したい。
17 ダリルウェイズウルフ/カニスループス 01(ビクター)UICY9061 紙ジャケ
英、プログレ、ジャズロック、オリジナルリリースは73年ファースト作。アナログは英オリジナルのゲートフォールド盤を所持してる。
カーブドエアーのヴァイオリニストダリル ウェイ、イカルスのギタリストジョン エサリッジ、ウォルラスのドラマーイアン モズレーにベースのデク メセカーによって結成。プロデュースはキング クリムゾン、マクドナルド&ジャイルズを経たイアン マクドナルド、アナログ時代のA面がヴォーカルサイド、B面がインストサイドと分けられてる。
この面子から想像出来る様にウェイ、エサリッジのテクニカルなプレイの応酬によるスリリングな展開が、このグループの聴き処、メセカーのヴォーカルは頼りなく儚げで叙情的と云えなくは無い程度、ラストの「悲しきマクドナルド」は泣きの名曲!
18 ニールヤング 87(ワーナー)20P2 2120
加、フォーク、ロック、オリジナルリリースは69年ファースト作。
近年、新譜にアーカイブ音源とリリースラッシュ凄まじく、なかなか追い付けないニール ヤング。バッファロースプリングフィールド解散後リリースされた、初ソロアルバム、バッファロー時代のフォークロック路線ではなく、内省的な弾き語り、正直暗い内容で一般的にはあまり人気ない作品だが、暗いもの好きとしてはしっくりする一枚、かなり久し振りに聴いたのだが、ズシンと響く良いアルバム、等身大ヤングの魂の呟き!
本作のオリジナル初版アナログはニール ヤング表記無し、国内再発アナログ盤と共に所持、備忘の為に記す。
19 JONI MITCHELL/FOR THE ROSES (ASYLUM)5057 2
加、フォーク、SSW、オリジナルリリースは72年5作目。
リプリーズから新興のアサイラムへの移籍、恋人JTとの別れ、転換期となった一枚。SSW時代の名作「ブルー」と、ジャズポップ路線へと舵を切った「コート&スパーク」に挟まれたアルバムで地味な印象だが、聴く程に味わい深い一枚、ピアノ、ギター弾き語りにトム スコット、ウィルトン フェルダー参加のジャージーな楽曲は次作へと連なるライン、グラハム ナッシュがハモニカを担当したカントリースタイルのポップナンバー、ジャケのジョニもグッド、それ以上に内ジャケのジョニに萌?
20 テンペスト 01(ビクター)VICP61658 変型紙ジャケ
英、ハードロック、オリジナルリリースは73年ファースト作。
コラシアムのドラムジョン ハインズマンにベースのマーク クラークにイギンボトムズ、ニュークリアスのギターアラン ホールズワース、ジューシー ルーシーのヴォーカルポール ウィリアムスによるテンペスト。何といってもこのグループはバカテクギタリストホールズワースのハードロックスタイルのギターが堪能出来る事で人気の一枚。手数の多いヘビーなリズム隊に渋いブルーアイドソウルなウィリアムスのヴォーカルも聴き処。凄腕揃いの中、ホールズワースのギターが華麗に縦横無尽に駆け回る名盤!
今週は16枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY310 2016.1217-1223
1 テンペスト/眩暈 01(ビクター)VICP61659 変型紙ジャケ
英、ハードロック、オリジナルリリースは74年セカンド最終作。
アラン ホールズワースとポール ウィリアムス脱退の穴を埋めたのが、奇才オリー ハルソール、ギターにリードヴォーカルにキーボードと八面六臂の大活躍。トリオ編成でリリースされたセカンド、オリーの持ち込んだポップ性が活かされたスリリングなハードロッキンサウンド、ホールズワースに負けず劣らずの超絶テクニックに変態度満点のトリッキーなフレーズを織り込んだオリーのプレイが抜群。ハインズマン=クラークのリズム隊も的確で重厚なプレイで応酬。本格派ウィリアムスのヴォーカルに比すと軽いオリーのヴォーカルも本作のサウンドにフイットしてる。
超絶技巧派ギタリスト二人を擁した稀代のグループテンペスト、何とこの二人が短期間同時に在籍していたツインリード体制時のライブ音源がリリースされてる。初出のブート盤は所持してるが、近年正規盤もリリースされてるみたいだ、是非入手したい!
2 ダリルウェイズウルフ/サチュレーションポイント(飽和点) 01(ビクター)UICY9063 紙ジャケ
英、プログレ、ジャズロック、オリジナルリリースは73年セカンド作。
前作と同じラインナップ、ヴォーカルの弱さを反省?してか、本作のヴォーカルトラックは2曲のみ、アクセントとなってて私的には問題無し、インストオンリーだと辛いので。コンポーズもウェイ、エサリッジと分けられ、各々の特性を活かしたクラシカル、ジャージーな楽曲とロックサウンドが融合したプログレッシブな内容。エサリッジのアラン ホールズワースにも比肩されるエッジの効いた高度な早弾きギターに、流麗なウェイのヴァイオリンとのスリリングな絡みが絶品!
3 MAGMA/KOMPILA 97(SEVENTH)SEVENTH REX XX
仏、プログレ、ジャズロック、ベストコンピ全8曲22テイク。
このグループはコンピ盤の類いで語れる様な代物ではないが、どこから手を付けていいのか分からない人には最適かもしれない、このグループの凄味は体感出来ると思う。
ジャケが掲載されたレーベルカタログとなってるブックレットが有り難い!
4 VAN DER GRAAF GENERATOR/THE BAND OF MILLIONS OF YEARS FEATURING THE UNDERCOVER MAN (REAL THING)RTCD033 ブート
英、プログレ、ライブ音源。
ピーター ハミルのソロライブ音源も含む寄せ集めブート、音も酷いし不要、VDGGものなら何でも欲しいというコレクター向け。
5 エスペラント/死の舞踏 03(ビクター)UICY9264 紙ジャケ
英、他、プログレ、オリジナルリリースは74年セカンド作。
ベルギーのウォレスコレクションのレイモンド ビンセントを中心に結成されたエスペラントは、他に英、米、豪、NZ出身者から成る多国籍集団12人編成グループ、本作では8人編成へとシェイプアップ、リードヴォーカルとしてSSWのキース クリスマスが参加、この辺はプロデューサーのピート シンフィールドの意向なのであろう。
ヴィンセントのアグレッシブなヴァイオリンがかなりロック的で、グイグイ迫り来る緊張感がスリリングで良い。弦楽四重奏団にキーボード類、ロックコンボによる変拍子、緩急引き締まったアンサンブルが見事なロックオーケストラ!
パート2
6 COMSAT ANGELS/FICTION 15(EDSEL)EDSK7088 2CD デジパック
英、NW、ネオサイケ、オリジナルリリースは82年サード作の二枚組拡大盤。一枚目がオリジナルアルバム収録曲。二枚目がボートラ6曲にジョンピールセッション4曲。
名曲「アフターザレイン」で幕を開けるポリドールレーベル最終作。エコバニにも比肩される本格派ネオサイケグループだが、我が国では人気無し、YMO英ツアーのサポートを務めた事ぐらいでしか語られないのは惜しい、本当に良いグループなんだけど。
この後、ジャイブレーベルに移籍し、ポップなアルバムを二枚リリースして、本国ではそこそこ売れたみたいだ。
7 MILLARD AND DYCE (MEDIA ARTE)MA0027 ペーパースリーブ
米、アシッドフォーク、オリジナルリリースは73年唯一作。
英ネオンレーベルのシェイプオブレインを想わせる印象的なジャケに包まれた本作はその筋のファンには有名な一枚。オリジナル盤は激レア故にCDリイシューが望まれたアイテムで、韓国のメディアアルテの快挙、盤起こしで音質がいまいちなのが残念ではあるが。
ミラード アルブティナを中心とする4人編成でギターにベースのみのドラムレス、三声のヴォーカルに幽玄なギターの絡みが生み出す彼岸のサウンド、アシッ度数高めのだらだらゆるーいフォークブルース、地味で暗いだけのダウナーなアルバム、この堕ちていく感覚が中毒性高く、ずるずる嵌まってしまうのがアシッドフォークの魅力!
8 マイケル マッギニス/ウェルカムトゥマイマインド 14(VIVID)VSCD5190 紙ジャケ
米、SSW、スワンプ、オリジナルリリースは69年ファースト作。
73年のセカンド「ロデオジプシーズ」がスワンプ系SSWアルバム定番として有名なマイケル マッギニス。SSW系アナログ漁ってた時に先のセカンドに本作も押さえた。所謂激レアものではないが、この辺の見逃されがちなアイテムリイシューが嬉しい韓国のビッグピンクからCD化。
ニュークリスティミンストレルズ出身の正統派フォークシンガー、ダニエル ムーアプロデュースによるファーストソロは、マイク カーブのレーベルフォワードからのリリース、バックにボビー ドイル、ジム ケルトナー、チャック ブラックウェル、ロドニー ディラード、グロリア ジョーンズといったLAのセッションメンが参加。スワンプティストの土臭いサウンドに男らしいヴォーカル、ソフロ、メロウティストな楽曲にスウィートなヴォーカル、ミンストレルズ出身とあって歌唱力ばっちり、じっくり聴かせるアルバム!
名盤セカンドのCD化願う。
9 ディヴィッド エリオット 14(ワーナー)WPCR15714
英、SSW、オリジナルリリースは72年ファースト作。
先々週セカンド作を紹介したが、直ぐにファースト作を入手出来た。勿論、中古の半値価格。
何故か米盤のデフジャケ仕様でのCD化、英オリジナルはヒプノシスジャケ、どちらのアナログ盤も所持してる。
米国出身で英国にて活動、二枚のアルバムをリリース。
プロデュースはプラスチックペニー、コチーズのミック グラハム、BJ コール、リック ウィルス、ロイ オテムロのコチーズの面々に、ギタリストとしてクイーバーのティム レンウィック、フックフットのカレブ クウェイ、ヘッズハンズフィートのアルバート リー、リズム隊にエルトン ジョンバンドのディー マレイ、ナイジェル オルソンにディブ マタックスにフランシス モンクマンetcと豪華面子。
このメンバーから予想出来るまんまの極上の英国的カントリー、フォークロックサウンドが詰まってる。ロバート カービーのストリングアレンジによる彩りも雰囲気たっぷり。少し鼻にかかったエリオットのヴォーカルも魅力的!
10 JONI MITCHELL/THE HISSING OF SUMMER LAWNS (ASYLUM)1051 2
加、SSW、オリジナルリリースは75年8作目。
邦題は「夏草への誘い」、セルフプロデュースによる問題作、当時、斬新的であったブルンディドラムの大胆な導入、実験的なシンセ、やや難解な内容からローリングストーンズ誌のワーストアルバムオブジイヤーに選出されるという栄誉?を受けている。斬新、異端なものは何時の時代も理解されない。今の耳で聴けば実に聴き易いもので、ジャズ、フュージョン系ミュージシャンを多数起用した、前作の延長線上にある作風、ジャケも含めてジョニの名作の一つ!