6 モーガンメイソンダウンズ 15(ワーナー)WPCR16285
米、フォーク、ソフロ、オリジナルリリースは70年唯一作。
本作はアナログ時代にジャケ買い、表は勿論、裏の後ろ姿雪ジャケにぐっとくる、初見何と読むか解らなかったグループ名は何の事は無い、キャス モーガン、マディソン メイソン、スティーヴン ダウンズの名前を繋げたものでPPMタイプのNY出身のフォークユニット。この新名盤探検隊シリーズ、税抜き1143円という嬉しい価格、リイシューものはこの位の価格設定だと手が出し易い、知られざる名盤をどんどんリリースして欲しいものだ。
三声のリードヴォーカル、コーラスが魅力的な作品で、特にモーガン嬢がリードを執るナンバーは英田園木漏れ日フォークを思わせる繊細なサウンドで、NY出身のアン スチュワート嬢を擁したチューダーロッジとも比肩される英フォークマニアにも人気。ジェントルな男性ヴォーカル陣も良い雰囲気だし、ソフロ調のナンバーも素晴らしい、英米良いとこ取りの名作!
モーガン嬢は名ソングライタートニー ロメオが結成したソフロのトラウト(69年作)のメンバーでもあった事でも知られてる、カサンドラ モーガン名義。トラウトはCD化されてるのであろうか?
7 PERIGEO/AZIMUT 15(GRUPPO EDITORIALE L'ESPRESSO)17 ペーパースリーブ
伊、ジャズロック、オリジナルリリースは72年ファースト作。
ジャズ畑出身メンバーによる英米ジャズロック、フュージョン、クロスオーバーシーンの影響濃いイタリアンジャズロック界の代表グループペリジオのファースト、ライブ盤含め7枚のアルバムをリリース。
ベーシストジョバンニ トマーソを中心に結成、そのトマーソのヒュー ホッパー張りのプレイ、ジャージーなリズム隊に管楽器、鍵盤楽器によるジャズスタイルのサウンドに、トニー シドニーのハードロッキンなギターがバトルを繰り広げるという緊張感溢れるスリリングな展開、モダンジャズとハードロックの攻めぎ合いといったスタイルが面白い一枚!インスト主体だが、ヴォーカルトラックも有り。
8 LANDSLIDE/TWO SIDED FANTASY 14(AURORA)AUCD5041
米、サイケ、ハード、オリジナルリリースは72年唯一作。
NY出身の5人組、メジャーレーベルキャピトルからリリースされたアルバムだが、あまり話題になる事はなく知名度は低い。自主制作、マイナーレーベルもの、希少盤に注目が集まるのも判るが、意外にこういったメジャーレーベルの埋もれ盤のリイシューが滞ってるのが現状。
さてランドスライド、西海岸サイケ風の弛いブルージージャムスタイル、ギターの絡みが心地良いナンバー、アシッド感漂うメロウナンバー、パーカッションが跳ねるラテンロック、確かな実力を感じさせるなかなかに聴かせる一枚!
9 GAME THEORY/TINKER TO EVERS TO CHANCE 90(ENIGMA)7 75351 2
米、ギタポ、パワポ、コンピ盤全22曲。
アメリカンインディーズ、ペイズリーアンダーグラウンドに嵌まってた頃、このグループのアナログを買い集めた、レコ棚をチェックしたら6枚のLP有り。ゲームセオリーといえば弾ける様なパワポサウンド、青春胸キュンギタポサウンドにスコット ミラーの甘酸っぱいヴォーカル、甘いマスクでマイケル クウェシオのスリーオクロックと共に特に女子に人気であったと思う。そのマイケルがメンバーであったオルタネートラーニングの貴重トラックをオープニングに配した本作はミッチ イースター、マイケルにスコット本人がプロデュースしたアルバム収録曲にシングル収録曲、レアトラックも収録したナイスコンピ!アライアスからもコンピ盤CDリリース有り!
ゲームセオリー解散後、スコットはラウドファミリーを結成、残念ながら13年に死去、近年再評価の機運が高まりゲームセオリーの再発プロジェクトが始まったらしい、楽しみ!
10 MOTHERS OF INVANTIONS/MOTHERMANIA VCD5068 ブート
米、ロック、フリークアウト、オリジナルリリースは69年ベスト盤にボートラ4曲付きのブート盤。
フランク ザッパのファーストからサードまでのマザースオブインベンションズ時代のベストコンピ、この時期のベストは他にもリリースされてるが、ザッパが関わったのは本盤だけ、他はレーベルが勝手にリリースしたもの。というわけで単なるベスト盤とは違い、別ミックスや別ヴァージョンを多数収録したマニアが喜ぶザッパらしい編集盤!永らく未CD化でこんなブートが出回ったが、近年正式にCDリイシューされたらしいので、是非そちらを!
パート2
パート3
11 PUSSY/PUSSY PLAYS PLUS FORTES MENTUM 09(MORGAN)MBTDD002 2CD
英、サイケ、ポップス、オリジナルリリースは69年唯一作にボートラ2曲付、前身グループのフォーティスメンタムの音源を付した二枚組拡大盤。
「化け猫ロック」の邦題で知られるプッシー、今やUKサイケマストアイテムとして有名な一枚、原盤はモーガンブルータウンレーベル、オレンジバイシクル、ボバックジョンズマローンといったウィル マローン関連レーベルとして有名、そのモーガンブルータウンを主催するモーガンスタジオのスタッフ、エンジニアのダニー ベッカーマンを中心とするグループがプッシー!さて本作の目玉となるのがフォーティスメンタム、プッシーの前身となるグループでパーロフォンより三枚のシングルをリリースしてる、そのシングル全曲に未発表音源を含む全18曲の貴重音源集、ドリーミーなサイケビートポップスにお約束?のテレミン入りのストレンジナンバー、プッシーの原型として興味深いトラック満載、プッシー単体で所持していても入手する価値有り。
12 JEFF BECK/TRUTH 06(EPIC)82876 7 7352 2
英、ロック、オリジナルリリースは68年ファースト作にボートラ8曲付。
ギター魔神と化したベックは殆んど聴き込んでいないのだが、ヤードバーズにこの第一期ジェフベックグループ時代は最高、メンバーにヴォーカルにロッド スチュワート、ベースにロン ウッド、ドラムにミック ウォーラーという布陣、ゲストにニッキー ホプキンス、ジミー ペイジ、ジョン ポール ジョーンズ、キース ムーン、エインズリー ダンバー、クレイム カティーニにバックヴォーカルとしてマデリン ベル、アイビーリーグのカーター&ルイスが参加!
R&B、ロックンロール、ビート、サイケ、ブルースロックを経てヘビーロック、ニューロックの時代への幕開けを飾った重要な一枚、60年代末期、激動の70年代に向けての胎動、渦巻く熱気がベックのアグレッシブなギター、ロッドのワイルドなヴォーカルとの丁々発止のせめぎ合いからムンムンと漂ってくる。このセッションがZEP結成のヒントになったともいう。
13 KOES BERSAUDARA/1967 10(SUBLIME FREQUENCIES)SF053 デジパック
インドネシア、ガレージ、オリジナルリリースは67年セカンド作「トウザソーコールドザギルティーズ」に、8曲入り10インチ盤にコンピ収録1曲から成る67年音源集全21曲。
ビートルズ来日50周年で盛り上がる昨今、世界中に吹き荒れたビートルズ旋風、ブリテイッシュインベンションの波は全世界に及び世界各地に素晴らしいグループを輩出した、我が国の例に漏れずアジア、特にフィリピン、インドネシアにも高水準のグループが多い、インドネシアを代表するのが、兄弟グループクースバーソーダラ!スカルノ政権下の65年、ビートルズを演奏したという理由で三ヶ月投獄されたという何ともな体験を持つグループ、スハルト政権となり録音された本作、英米ビートミュージックの影響濃いフラットロック、兄弟らしい息の合ったコーラスワーク、東南アジアらしい哀愁、確かな演奏力、インドネシア侮れず!
14 KOES PLUS/ANGIN BERTIUPU (BRAVO MUSIC)BMCD01026 デジパック
インドネシア、ロック、オリジナルリリースは75年作にボートラ7曲付。
前掲のクースバーソーダラの後身グループ、クースウオヨ兄弟から成るクース兄弟という意味の名称から一人抜け、ドラム担当のムーリーという他人が参加してクースプラスと改名。現在も活動するインドネシアのビートルズとも称されるインドネシアを代表するグループとして50枚以上!のアルバムをリリースしてるというから驚く、正に国民的グループ。改名後何作目になるか不明だが、サウンドはビート、ガレージサウンドからインドネシアのトラディショナルなビート、ダンドウット、クロンチョンのサウンドを導入した打楽器グーダンの弛やかな響き、ヴォーカルの民謡、歌謡的な節回し、女性コーラス、笛、バンドネオンによるまったりしたサウンドは東南アジアののんびりした空気感が伝わってきて、あくせく、ぎすぎすした慌ただしい日常から暫し現実逃避出来る。
15 リンダ ルイス/ハートストリングス 95(ワーナー)WPCR536
英、SSW、フリーソウル、オリジナルリリースは74年4作目アメリカ編集盤。
71年「セイノーモア」72年「ラーク」73年「ファザームスディープ」の三枚のアルバムからの選曲と、シングル盤収録のみの三曲から成るベスト盤。
5オクターブの声域、高音はひばりのさえずりとも形容される美声のSSWリンダ ルイス、特に初期リプリーズ時代の三枚は素晴らしい。そのリプリーズ時代のベスト、手っ取り早くリンダの魅力を知るにはうってつけのコンピ、もっとヴォリュームが欲しい向きには02年リリース23曲入りコンピ盤もリリースされてる。
「ラーク」収録の名曲「真理を求めて」はじめリンダの名唱に、腕利きバック陣の演奏も素晴らしいフィメールSSW屈指のアーティスト!
永らく未CD化だったファーストも漸くリイシューされたらしい、入手しなければ!
今週は15枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY286 2016.0702-0708
1 MODULO 1000/COMPLETE WORKS (ROMER)
ブラジル、サイケ、オリジナルリリースは70年唯一作にボートラ8曲付。
ブラジリアンサイケモンスターモデュロ1000のCDは知る限り三種リリースされてる。収録内容はほぼ一緒なので豪華な装丁のワールドインサウンド盤があれば事足りると思うのだが、他に目ぼしいものがない、かつ、安価に落ちてると墜手が出てしまう。こうなりゃ、残りのRPM盤も欲しくなるのがコレクター心理というやつで、こうしてどんどんぬかるみにはまってしまう。
というわけで当ブログではWIS盤を紹介済み。
アングラ臭プンプンの激ヤバサイケサウンドに脳天クラクラ必至、強烈変態サイケファンマスト!
2 TINKERBELLS FAIRYDUST/MAGIC GARDEN X0443276CD
英、サイケ、ポップス、オリジナルリリースは69年唯一作。
これも前掲と同じ理由での入手。当ブログではボートラ付きのグレープフルーツ盤を紹介済み。09年グレープフルーツからリイシューされるまではアナログ盤でも出ていたこのジャケの方が浸透していた。何せオリジナル盤はテストプレスのみの幻のアルバム、現物を眼にする事すら叶わなかったので、このブート?でも重宝された。
我が国ではオープニングのシングルナンバー「誓いのフーガ」がヒット、国内シングル盤をよく見掛けた、何故かフェイアリーダストと省略されていたので、永らくこのティンカーベルズと結びつかず、後年知って吃驚というわけ、バッハ曲をモチーフとしたドリーミーサイケ、ソフロ調の名曲。
3 ウォーレン ジヴォン/ザウィンド 03(コロムビア)COCB53087
米、SSW、ロック、17作目遺作。
02年9月、末期癌余命三ヶ月の宣告を受けたジヴォンが、燃え尽きる命を削って制作したアルバム、本作リリースの一ヶ月後、03年9月ジヴォン死去享年56歳、ロック界のサム ペキンパー、ソングノワールと称された特異なSSWの早すぎる死であった。
最後となるアルバムに駆けつけたのは、盟友ジャクソン ブラウン、ホルヘ カルデロン、ライ クーダー、デビッド リンドレー、ドン ヘンリー、ティモシー シュミット、ジョー ウォルシュ、エミルー ハリス、Tボーン バーネット、ジム ケルトナー、トム ペティにジョン ウェイト、トミー ショウ、更にブルース スプリングスティーン、ノンクレジットだがボブ ディランも参加してるとの事、ジヴォンとの最後の時を慈しむような珠玉のセッション、死を前にした悲壮感は無く、いつもと変わらぬ自然体のジヴォンがここにいる。ディランカバー「天国への扉」にジーンとくる。ジャケの穏やかな表情のジヴォンが良い!
4 ストーンローゼス/ガレージフラワー 97(カッテイングエッジ)CTCZ30001
英、NW、ブリットポップ、初期コンピ盤全14曲。
デフジャケの再発盤もリリースされ、今やカタログアイテムとして定番化された「ガレージフラワー」、シルヴァートーンがメンバーの許諾を得ず勝手にリリースしたもの。こういったケースは珍しくなく、アーティスト側は没トラックやリハーサル等、不完全なナンバーが世に出るのは不満だろうが、残された音源全て聴きたいというのはファン心理であろう。未発表音源集や蔵出し盤とか、ガンガン手を出してしまう(笑)。
さて本作は86年録音、プロデュースはマーティン ハネット、アルバム用に録音された幻のファーストアルバムといえる作品。「憧れられたい」「ディスイズザワン」の初期ヴァージョン、後にリリースされるナンバーの雛形が聴ける、荒々しく粗野で未完成であるが「原石とタンポポ」くらいのファン向けの一枚。
5 BLACKWOOD APOLOGY/THE HOUSE OF LEATHER (AURORA)AUCD5015
米、サイケ、オリジナルリリースは68年唯一作。
ゴチャゴチャ強烈なジャケにてアナログ盤にて入手した一枚だが、内容は殆ど忘れてる、入手した事すら忘れてる盤も少くないからましな方かも?売れ残り最終価格品のCDをゲット。
ジャケからも伺われる様に南北戦争をモチーフとしたコンセプト作でオペラ仕立て、実際上演もされたらしい。メロウなソフロ、ソフトサイケナンバーに後半にはファズギターがうねるヘビーサイケ、かなりとっちらかったサウンドがジャケの如き不思議な世界感に引き摺り込まれるストレンジサイケ!
パート2

6 V.A/READY STEADY GO + WIN! 92(SEE FOR MILES)SEECD202
英、ビート、モッズ、64-65オムニバス盤全22曲。
人気TVコンテスト番組レディステディゴーの入賞グループを収録、栄えある優勝はボーストリートランナーズで5曲収録、さすがに「アンドアイドウジャストホワットアイウォント」の格好良さは抜きん出てる。タイムボックス~パトウ~スプーキートウース~ボクサーのマイク パトウ、フリートウッドマックのミック フリートウッド、ジョデイグランドのティム ヒンクリーを輩出した実力派グループである。他は恐らくシングル一枚のみで消えていったマイナーグループばかり。
7 BILLY BRAGG/BREWING UP WITH 06(OUTSIDE)OUT9008 2CD 紙ジャケ
英、NW、SSW、オリジナルリリースは84年セカンド作に11曲のボーナスCDを付した二枚組拡大盤デフジャケ仕様。
ビリー ブラッグという個性派SSWを世に知らしめたアルバム、ファーストはミニアルバム仕様だったので実質的なファースト作、初めて手にしたのが本作で国内アナログ盤もリリースされていた。エルビス コステロ、ロビン ヒッチコック、ジョン ウェズリー ハーディングとパンク以降登場したユニークなSSWの中で一際個性的なのがこの人、当時、アンプを背負った弾き語りで政治色強い詞をがなりたてる様に唄うスタイルはワンマンクラッシュとも評された。元々リフラフというパンクバンド出身、スピリットはパンクス!ギター弾き語りにオルガン、トランペットがちょろちょろ絡むというシンプルな構成でゴツゴツした熱いメッセージがビンビンに響いてくる。
ボートラCDを一枚に纏めたオリジナルジャケ仕様の国内盤紙ジャケ有り。

8 LOS YAKI/VUELVE EL SONIDO AGRESIVO 02
メキシコ、ガレージ、サイケ、オリジナルリリースは68年6作目にボートラとして65年ファースト作をパック。
メキシカンガレージロス ヤキの怪しい一枚、レーベル、規格番号無しの非正規盤?このグループ他にCD出てるのかな?いかにもサイケなジャケに包まれた本作はカバー曲を中心にスペイン語でぶっ飛ばす、ハイテンションな演奏で一気に聴かせる。ファーストではビートルズのカバーが大半を占め、キンクス、ストーンズのカバー等ブリテイッシュインベンションの影響濃いグループ、多様化する70年代には着いていけず、8枚のアルバムを残して解散。
9 GOEBBELS-HARTH/LIVE A VICTORIAVILLE 93(SRC)VICTOCD04
独、フリージャズ、アヴァンギャルド、87年ライブ音源。
ヘイナー ゲッベルスとアルフレッド 23 ハートによる最強デュオ、マルチミュージシャンで知られる二人、ゲッベルスはピアノ、シンセ、クラリネット、テナーサックス、パーカッション等、ハートはサックス、バスクラリネット、トロンボーン、トランペット等を駆使してフリーキーにアヴァンギャルドにスリリングに展開する。聴き処は13分に及ぶ代表曲の「北京オペラ」、二人が構築する緊張感溢れる緻密かつ大胆なアンサンブルに引き摺りこまれる。

10 MARK THOMSON/A FINE LINE 1I(BIG PINK)BIG PINK171 ペーパースリーブ
米、リリジャスフォーク、オリジナルリリースは81年自主制作ファースト作。
コロラド出身の知られざるSSWマーク トンプソン、当ブログではセカンドを紹介済み、端正で誠実な作風に好感が持てたので本作も入手、安直なジャケはいまいちだが、うすらと靄がかかった様なドリーミーフォークの逸品。ジョン レノン射殺の喪失感を歌った「スルーザフロアー」のもの悲しいバラッドナンバーが胸を撃つ、誠実な歌声、メランコリックな雰囲気が堪らない佳作!
パート3
11 RON PAUL MORIN & LUKE P.WILSON/PEACEFUL COMPANY 09(BIG PINK)BIG PINK31 ペーパースリーブ
英、フォーク、オリジナルリリースは72年唯一作。
まずこのジャケできまり、ただ二人が並んでるだけの変哲無いジャケ、テネント&モリソン、ソーツ&ワーズ、パリッシュ&ガーヴィッツ、米のジャストアス、プレテンス&タトル、どれも素敵なアルバムばかり。
フラッシュ、ジュリエット ローソン、パトリック キャンベル リオンズ、パブリックフットザロマン、マウスといったコレクターズアイテムを抱えたソヴリンレーベルからリリースされたモーリン&ウィルソンのアルバムは、細やかなコーティングテクスチャーのゲートフォールドジャケ、是非紙で押さえたい一枚!
ジャケ通りのライトスワンプな木漏れ日フォーク、メロウなエレピが醸すアシッド感、繊細なアコギ、バンジョー、ペダルスチール、フィドルによる簡素かつ豊潤なバッキングに二人のジェントルなヴォーカルが映える名盤!
12 LOS GATOS/SEREMOS AMIGOS 02(BMG)PAGINA12
アルゼンチン、ビート、サイケ、オリジナルリリースは68年サード作にボートラ1曲付。
アルゼンチンロック界の重鎮リト ネビア率いたロス ガトスは、64年に結成されたロスガトスサルベヘスを前身とするグループでアルゼンチンを代表する名グループ。たなびくオルガンにピアノが良い感じ、我が国のGSにも通じる人懐こいメロディーが郷愁を誘うビートサイケポップスナンバーが最高。殆どの曲を手掛けるネビアの高い作曲能力、バーズ風のルックス、当時抜群の人気を誇ったのも納得!
13 マーク スチュワート/エディット 08(BEAT)BRC192
英、NW、ヒップホップ、6作目。日本盤オンリーボートラ2曲付。
ベスト盤を挟み前作より13年振りとなる6作目のアルバムだが、圧倒的な存在感よりブランクを全く感じさせない男マーク スチュワート、15年には35年振りとなるポップグループ新作発表と過激に前進するスチュワート、見た目はすっかり気の良いオッサン的風貌に激変してるが、その精神はデビュー当時から変わりなく、パンクスピリッツを持ち続けるタフネスさには驚嘆する、怒りのパワーを持続させるのは並大抵ではない、偏屈頑固男マーク スチュワートは唯我独尊。
盟友エイドリアン シャーウッドを迎えダブ、ヒップホップサウンドにマークのアジテートヴォーカル、凄味は伝わってくるが、ヒップホップってのは全く肌に合わない。
14 GRAHAM PARKER/BURNING QUESTIONS 92(CAPITOL)99003
英、NW、パブ、14作目。
現在もマイペースながら活動するベテランシンガーグレアム パーカー、RCAからキャピトルへ移籍しての第一弾、アンドリュー ボドナーにピート トーマス、スタイルカウンシルのミック タルボット、バックヴォーカルにPP アーノルドが参加、切れのいいヴォーカルにサウンド、相変わらずのパーカー節炸裂の好盤だが、セールス的には振るわず、一作のみでインディのレーザー&タイへと移籍、エリオット マーフィー、マーシャル クレンショウも所属した良質レーベル。
15 KEVIN AYERS/SWEET DECEIVER 09(EMI)268 2962
英、ロック、オリジナルリリースは75年6作目にボートラ5曲付。
原盤はアイランド、本CDはハーベストと何だか奇妙な感じだが、本作のプロデュースはケビン自身に相棒オリー ハルソール、本作ではオリー ヘアカットとクレジットされている。異端のシンガー、ギタリストのグッドコンビネーション、参加ミュージシャンではエルトン ジョンが目を惹く、三曲で印象的なピアノを弾いてる。ケビンといえばバナナ、ニ曲目に登場「グルーバナナ」、エルトンのホンキートンクなピアノにケビンののほほんヴォーカルによるお気楽ソング、優しいバラッドにトロピカルナンバー、レゲエ、オリーは変態フレーズを繰り出し、ケビンの低音ヴォーカルにゾクゾクする名作!ボートラは75年BBCライブ、26分半に及ぶ大盤振る舞い!
今週は6枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY287 2016.0709-0715
1 JETHRO TULL/SONGS FR0M THE WOOD 03(CHRYSALIS)581 5702
英、プログレ、ロック、オリジナルリリースは77年10作目にボートラ2曲付。
いわゆるトラッド三部作の一作目にあたるアルバムで邦題は「神秘の森」、ジャケから受ける印象もあってアコーステイックで穏やかなトラッドフォーク作かと思いきや、そこはタル、おもいっきりプログレでロックなアルバムだと認識。アナログ盤で聴いて以来だから、10数年振りに聴く、先のイメージからもっとトラッドトラッドしたサウンドだと記憶してたのだが、タルは奥深い?何せツインキーボード体勢だから音は厚い、アコーステイックなサウンドが基調なのだが濃ゆーい、くどーい、転調ビシバシの高度なサウンドに絡み付くイアン アンダーソンのフルート、タル節満載のプログレッシブな面白盤!タルの魅力がコンパクトに纏まった代表作!
2 グリーンスレイド 92(ワーナー)WPCP4794
英、プログレ、オリジナルリリースは73年ファースト作。
プログレの元祖ツインキーボードといえば、このグループグリーンスレイド、コロシアムのディブ グリーンスレイドにトニー リーヴス、ウェブ~サムライのディブ ローソン、キングクリムゾンのアンドリュー マクローチ、凄腕4人によるスーパーグループ、ギターレスツインキーボードというユニークな編成、ロジャー ディーンジャケによる英プログレを代表するグループ!タルと同じく久々に聴く、同じくツインキーボードといえどキーボードメインのグリーンスレイドはシンフォニックプログレ!ハモンドオルガン、メロトロンを軸に多彩なキーボード陣による多彩な音色に、リーヴスのグイグイ弾むリードベース、小気味良いマクローチのドラム、味のあるローソンのヴォーカル、ジャズ、クラシカルなシンフォプログレにブルージーな感触もこのグループの持ち味、キーボードの雨霰、洪水を味わいたいなら持ってこいの一枚!
3 スティーヴ ヒレッジ/グリーン 90(ヴァージンジャパン)VJCP2532
英、プログレ、オリジナルリリースは78年4作目。
アーザケル(ユリエル)~カーン~ゴングとカンタベリー系の重要グループに在籍したスティーヴ ヒレッジ、当ブログではファースト作の「魚が出てきた日」を取り上げてる。今週続いてるロック定番シリーズ、ネタを明かせば先月末に大量買いした中の一枚、普段だったらスルーする定番モノ、最終価格にて爆買いというわけ。ヒレッジのアナログ盤は何枚か持ってるのだが、本作は所持してなかったと思う、音自体はアナログ時代に耳にしてる、78年当時としては現代のテクノ、ハウス、アンビエントの先駆けともいえるサウンドでヒレッジが現在、この分野で活躍するのが予見出来る、しかし、当時のNWシーンには刺激的なサウンドのアーティストが綺羅星の如く存在し、NW小僧はただウロウロするばかり?
様々なエフェクトを駆使して変容されたスペーシーなギターにギターシンセ、音色や音響処理に拘った先鋭的なアプローチはヒレッジとの共同プロデュースであるピンクフロイドのニック メイソンの手腕に負う処も大きい、ヒレッジの最高傑作と目されるのも頷ける一枚!
4 シン リジィ/ライヴアンドデンジャラス 96(ユニバーサル)UICY9852
アイルランド、ロック、オリジナルリリースは78年9作目ライブ盤。
ロックの醍醐味はライブに有り、優れたロックライブ盤が多数リリースされている、このシンリジィの初のライブ盤はロックライブ史上に残る屈指の一枚、これぞロックという魅力が満載、一気に聴き通せるCDはライブ盤には便利、アナログではひっくり返す手間がもどかしい、それだけ臨場感ある緊迫感あるステージの様子がビンビンに伝わってくる。ブライアン ロバートソン、スコット ゴーハムのツインリードにフィル ライノット、ブライアン ダウニーのリジィ最強メンバーによる渾身のプレイ、フィルのハードロッカーとしては異質のくぐもった暗い声質のヴォーカルが好みなんだよね!
5 PEACE/BLACK POWER (GROO)0011 ペーパースリーブ
ザンビア、ロック、サイケ、オリジナルリリースは75年ファースト作。
ザンビアのロックグループといえば、当ブログで紹介したWITCHが有名、そのメンバーも在籍していたボーイフレンズのメンバーを中心に結成されたグループピース、政情不安のザンビアの実情が窺われる政治色強いグループであった。ファズギターがうねるヘビーサイケサウンドにアフロファンクビート、アフロスピリッツにどっかクールな情感が滲む、暗黒のアフリカ大陸のむせかえる匂いがプンプン漂ってくる逸品!原盤はアフロロック屈指のレア盤としても知られてる。
パート2
6 ロウ/カモン 11(P-VINE)PCDT36 紙ジャケ
米、ポストロック、9作目。
スロウコア、サッドコアシーンの重鎮ロウ、アラン スパーホーク(ギター、ヴォーカル)とミミ パーカー(ドラム、ヴォーカル)夫妻を中心とするグループ、ベースは流動的で本作ではスティーブ ギャリントンが加入。これまでにクレイマー、スティーヴ アルビニ、デビッド フリッドマンがつとめ、本作ではマット ベックリー、この苗字でピンとこられた人もいるかもしれない、アメリカのジェリー ベックリーの息子、アビリル ラビーンを手掛けた事で知られてる。ヴァイオリン、バンジョー、ラップスティールギター、パーカッション、キーボード奏者と多数のゲストが参加してるのが目を惹くが、シンプルで幽玄なロウサウンドは変わらず、ゆったりと時が流れていく豊潤な時間にただただ身を委ねるのみ、慌ただしく流れていく日常に大事なものが喪われていく、、、日々の喧騒を暫し忘れたい。
7 ジャーヴィスストリートレヴュー/ミスターオイルマン 00(キャプテントリップ)CTCD291 デジパック
加、サイケ、オリジナルリリースは70年唯一作。
本グループの中心人物トム ホリックスはニール ヤングと60年代初期に活動を共にしたという経歴をもつミュージシャン、幾つかのグループを経て結成したのがジャーヴィスストリートレヴュー、本作と三枚のシングル盤をリリースしている。
公害をテーマとしたコンセプト作、内ジャケのドラム缶、タイヤ、廃車、産業廃棄物が散乱し、工場の煙突からは毒々しい不気味な煙が放出と、メッセージ色強いイラストが目を惹く。のっけからツインファズギターの歪んだ響きに嗄れ声ヴォーカルが強烈、続く13分に及ぶタイトル曲、不穏な風のSE、殺伐としたヴォーカルが描くシリアスなヘビーアシッドサイケサウンドにガツンと殺られる。ホーンセクションを導入したナンバーや後半部ではポップな展開も見られる聴き応え充分のアルバム!
8 BLUES TRAIN 00(GEAR FAB)GF158
加、ブルース、サイケ、オリジナルリリースは70年唯一作。
カナダ人ジャズプレーヤー、アレンジャーのジャック ミルマンは60~70年代にジョニー キッチン名義で企画ものアルバムを量産、その領域はあらゆる分野に渡り、企画もの、でっち上げアルバムを作成する。同じ音源の転用、有名無名既成曲の流用、サンプリングにコラージュ、エフェクトをかまして大量の胡散臭いアルバムを世に送り出したのだが、サイケファンに有名なのが、カナダのコンドルレーベルからリリースされたクレイジーピープルにこのブルーストレイン、御約束の列車の走行音SEで幕を開け、ファズギター、オルガン、時にサックス入りのブルースロックがメインで、シスコヒッピーサイケロック風に、「フーチークーチーマン」「モージョーウォーキン」といったスタンダードナンバーのカバー等はじめ、ブルージーサイケのアルバムとして高水準の出来、実態を知らなければ、普通にブルーストレインというグループのアルバムとして聴こえてくる、ジョニー キッチンのベストワークの一つ?
以前、この人のワークスが纏めてリリースされたが、よほどのモンドもの好きな人でない限り手を出さない方が無難かも?
9 BARCLAY JAMES HARVEST/OCTOBERON 03(POLYDOR)065 399 2
英、プログレ、シンフォ、オリジナルリリースは76年8作目にボートラ5曲付。
バークレイにハーヴェストとレーベルの名称をグループ名に持つ、まさに英プログレ界の申し子バークレイジェームスハーヴェスト、ハーヴェスト時代の4枚はオリジナルアナログ盤で押さえ、ポリドール時代には敢えて手を出さなかったバークレイ、むしろこのグループの黄金時代はポリドール期、90年までに10数枚のアルバムをリリースしている。74年にポリドールへ移籍し「宇宙の子供」リリース、ライブ盤を挟み移籍後4枚目のアルバムが本作、邦題「妖精王」、副題「小林幸子」っていう冗談はさておき、ジャケのイメージ通りのロマンチックなシンフォニックプログレで、久々にハーヴェスト時代以来のオーケストラが導入され、二曲目は合唱隊も起用した荘厳な讃美歌が聴ける美しい叙情性を持った印象的なナンバー、ビートルズ直系のいかにも英国的な王道ポップス、人懐こいメロディーが心地良い。テクニックをひけらかす類いの技巧派グループでもなく、カリスマ的なスター性を持つメンバーも居るわけではない、地味なグループだが、その親しみ易さが人気の要因。特にドイツでの人気は高く、80年西ドイツでの無料コンサートには18万人の聴衆を動員、更に87年には東ドイツでもライブを敢行、どちらの公演もライブ盤でリリース、ライブパフォーマンスでも人気が高かったのが窺われる。
10 DAVID HAMMOND/I AM THE WEE FALORIE MAN:FOLK SONGS OF IRELAND 97(TRADITION)TCD1052
アイルランド、トラッド、フォーク、オリジナルリリースは59年ファースト作。
アイルランドのトラッドシンガーデビッド ハモンド、70年代にドナール ラニーが参加したアルバムが有名だが、本作はトラッドナンバーをギター弾き語りしたファースト作、何の飾りもない素朴極まりない歌が沁みる。28年生まれというからラニーやパディ モロニーといったアイルランドの重鎮達より、一世代前の大ベテラン、残念ながら08年に没してる。
パート3
11 SPACEHEADS 95(RED NOTE)RED NOTE3
英、NW、アヴァンポップ、ファースト作。
青春胸キュンネオアコペイルファウンテンズサウンドのアクセントとなったトランペットを担当していたのがアンディ ダイアグラム、ダイアグラムブラザース、ディスロケーションダンス、ジェームス、デビッドトーマス&トウーペルーボーイズとかでもとぼけたトランペットを鳴らしていた、本グループはディスロケーションダンスでドラムを担当していたリチャード ハリソンとのデュオユニットスペースヘッズ、ドラム、トランペット以外にも様々な楽器を駆使、ゲストを招いてやりたい放題に奏でられるゴチャゴチャしたジャケ通りのアヴァンギャルドな一枚。

12 ESPERANTO/ROCK ORCHESTRA 00(SI WAN)SRMC5011 ペーパースリーブ
欧、プログレ、オリジナルリリースは73年ファースト作にボートラ3曲付。
当ブログでは最終サード作を紹介済みのエスペラント、ベルギーのウォレスコレクションのレイモンド ビンセントを中心に結成、アルバムタイトルにある様に目指したのはロックオーケストラ、総勢12名のメンバーが参加し、そのメンバーの国籍はベルギー、米、英、豪、伊、NZと多国籍なグループで世界共通言語エスペラントの名称が相応しいといえる。
弦楽四重奏団をメンバーに抱えるという編成、三人の女性ヴォーカルを擁した男女混声によるシアトリカルな構成、ソウルフル女性ヴォーカルによるR&B色濃いナンバー、欧州ジプシートラッド調の情念を感じるナンバー等、多人数による音の洪水といったイメージを抱くが、かなり整理された内容、まだまだ試行錯誤といった印象だが、そこら辺が私的には楽しめる処。シンフォプログレ的真価が発揮されるのは次作から。
13 HOWE GELB A BAND OF GYPSIES/ALEGRIAS 11(FIRE)FIRECD166 ペーパースリーブ
米、ポストロック、何作目かは不明。
デザートロックの雄、砂漠のルー リードの異名を持つハウ ゲルブ、バンドオブジプシーズを率いた本作のモチーフはジャケからも伺い知れる様にフラメンコ、スパニッシュギターの名手ライムンド アマドールを迎えゲルブのクールな低音ヴォイスが地を這う、その呟く様なヴォーカルはレナード コーエン、セルジュ ゲーンズブルを思わせるセクシーな魅力に溢れるもので堪らん、夜間砂漠の冷やかな空気が地の底からジワジワと立ち昇る。

14 BLODWYN PIG/THE BASEMENT TAPES 00(HUX)HUX019
英、ブルース、ロック、BBC音源集。
ジェスロタルの初代ギタリストミック エイブラハムス、タルをファーストアルバムのみで脱退し結成したのがブロドウィンピッグ、タルファーストのブルースフィーリングはこの人に負う処が大きい、更なるブルース道を追究したのがブロドウィンピッグだが二枚のアルバムを残し脱退、ミックエイブラハムスバンドを結成、本作は69年の音源に再びエイブラハムスが合流した再編ピッグの74年音源に、96年エイブラハムスのソロ音源より構成。
エイブラハムスのブルージーなギターワークと、後にブランドXで大活躍するジャック ランカスターのサックスとの責めぎ合いがスリリング、スタジオ盤以上の熱気を孕んだ演奏がグッド!この人やグラウンドホッグスのトニー マクフィーとか、根っからのブルース馬鹿が英国ロックを面白くしてる!

15 INCREDIBLE STRING BAND (HANNIBAL)HNCD4437
英、フォーク、トラッド、オリジナルリリースは66年ファースト作。
クライブ パーマー在籍トリオ編成での唯一作、本作は米オリジナルアナログジャケ仕様盤、英オリジナルアナログジャケ仕様盤の方もリリースされており、2アイテム目のゲットとなる、アナログ盤は米オリジナル盤を所持。古楽器を手にした英盤ジャケの方が好みであるが、本作ジャケでのパーマーのオッサン風貌、トラディショナルな着こなしも良い、43年生まれだからこの時23歳、とても見えない初老の風格。
ISBといえば、よれよれのヒッピーアシッドフォークサウンドが売り?なのだが、ここではトラッドのカバーを含む真っ当なトラッドフォークサウンドを展開、パーマー翁が睨み効かせたのかな?
今週は28枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY288 2016.0716-0722
1 BERNARD LAVILLIERS/HISTOIRES 98(BARCLAY)559 822 2 2CD
仏、SSW、ロック、76-97二枚組コンピ盤全33曲。
80年代には我が国でもアナログ盤がリリースされていたベルナール ラヴィリエ、ジャック イジュランとかと一緒に買い揃えたものだ、「異邦人」は大好きなアルバムで国内盤に12インチ付きの仏盤も入手した。その12インチの「スタンドザゲットー」に「キングストン」のレゲエナンバーにラテンナンバーにエレポップとNW調の楽曲も良かった。先の国内盤のライナーには若い頃、本物の悪で刑務所に服役していたとの記述があったがどうなのだろう?ヴォーカルはやさぐれた感はなくまろやかなアダルトヴォイス、本国では大人気シンガーである。
2 MIKE ABSALOM 06(REPERTOIR)REP5099 ポスタージャケ
英、フォーク、SSW、オリジナルリリースは71年サード作。
本作はプラケ盤で所持してるが、オリジナル仕様のポスタージャケとあっては入手せざるを得まい、ヴァーテイゴ、ロジャー ディーンジャケという事で激レア、激プレミアの人気盤。結構な数のアルバムをリリースしてるみたいだが、自分が所持してるのは、70年代にフイリップスからリリースされたアナログ盤が三枚程。注目されるのは本作のみで、プロデュースはニルヴァーナのパトリック キャンベル リオンズ、ギター弾き語りをベースにピアノ、リズム隊のシンプルなバッキングが付くといったスタイルでアメリカンSSW的なドライな質感を感じる。もう少し英国的情緒が欲しい処だが、これはこれで悪くはない。
3 BONG PENERA (VICOR)BCD169
フィリピン、ジャズ、ボサノバ、ピアニスト、オリジナルリリースは78年サード作。
仄暗いジャズボッササウンドがクールなボン ピネラ、ゲストの巧みなサックス、トランペットのソロをフューチャーし、ピネラのピアノ、エレピの流麗な響き、リズミカルなパーカッション、グレードの高い演奏が繰り広げられる。特にラスト三連発ヴォーカルナンバーが聴き処、ゲストの女性ヴォーカルにピネラの暗い味のあるヴォーカル、ピネラと女の子のデュエットが素敵、癒される。
4 BRIDGET ST.JOHN/JUMBLEQUEEN 06(HUX)HUX082 ペーパースリーブ
英、フォーク、SSW、オリジナルリリースは74年4作目にボートラ3曲付。
本作は初出のBGOのプラケ盤で所持してるが、デフジャケ仕様、ボートラの内容違いと云えば入手せざるを得まい。オリジナルジャケ仕様の国内紙ジャケ盤にデジパック盤もリリースされてる。英フィメールフォークファンにはマストのアーティストブリジット セント ジョン、本作はダンデライオンからクリサリスに移籍してのアルバム、プロデュースはテンイャーズアフターのレオ ライオンズ、マイケル ジャイルズ、ステファン グロスマン、チック チャーチルズ、バーニー マースデン、ビヴァリー マーティン等が参加、洗練されたフォークロックサウンドにブリジットの落ち着いたアルトヴォイスがただただ沁みいる。
この後、渡米し活動するも消息は不明、94年に突如カムバックアルバム「ティクザフィフス」をリリースするも、一部注目を集めるが、その後沈黙、近年のフリーフォークシーンによるレアフォークブームで再評価、奇跡の来日公演はじめライブ活動の復活、オリジナルアルバムの紙ジャケ再発、レア音源、ライブ音源のリリースと何かと盛況、そろそろ新作アルバムが聴きたい処なのだが?
5 KIM FOWLEY/666 12 CDR
米、ロック、何作目かは不明。
米ロック界のフランケンシュタインキム フォーリー晩年の一枚、ミュージシャンとして多数のアルバムを発表、更にプロデューサー、コンポーザー、仕掛け人として米ロック界のフィクサー的存在、ランナウェイズを手掛けた事で広く知られてる。その活動は米国に留まらずフィンランドのウィグアムをプロデュースした事でユーロプログレファンにも知られてる。
本作はタイトル、ジャケからも窺いしれる様にホラー、ゴスな雰囲気たっぷりのカルトな一枚、無機的な打ち込みにフォーリーのダウナーなやさぐれデスヴォイス、サイケデリックなギターに簡素なリズム隊のバンドスタイル、ギター弾き語りアシッドフォークナンバー、フォーリーのクールな魅力が満載。
パート2
6 LOS GATOS/BEAT NO1. 02(PAGINA)PAGINA12
アルゼンチン、サイケ、オリジナルリリースは69年4作目にボートラ6曲付。
アルゼンチンロック界の巨匠リト ネビア率いたロス ガトスの4作目、まずフラワーなジャケが目を惹く、サイケなエッセンスがたっぷり詰め込まれたアルバム、チープなオルガン、軽快なカッテイングギターに鋭いファズギターの斬れこみ、熱のこもったスペイン語ヴォーカル、コーラスが織り成すフォークロックスタイルに、内省的なアシッドフォークナンバー、本編ラストの11分に及ぶトラック、グルービーなオルガンにライトなパーカッション、ヘビーなリズム隊、鋭いファズギター、呪術的に展開するアシッドサイケナンバーが圧巻!
7 ロビン スコット & シキシャ/ジャイブ シキシャ 07(ビクター)VICP63740 紙ジャケ
英、NW、アフロ、84年制作オリジナルリリースは98年4作目。
NW、テクノポップを代表するナンバー「ポップミュージック」はMの大ヒット曲、何でもありのNWシーンに突如ミュータントの如き登場したMはロビン スコットのソロユニット、後年ロビンが60年代末期にアシッドフォークなソロアルバムをリリースしてると知り、随分驚いたものである。その見事な転身は米のSSWロッド ティラーがロデリック ファルコナーに変身した位の吃驚仰天。怒れる若者の音楽パンク、NWシーンにも苦労人のオッサンミュージシャンがわんさかいた、ミッキー ジャップ、ジョナ ルウイ、デビッド キュービネックとか、、、
さて本作はロビンが南アフリカ出身の女性コーラストリオシキシャとのジョイントアルバム、84年に制作されるもお蔵入り、98年にリリースされたという曰く付きのアルバム。ロビンと交流が深かったというマルコム マクラーレンの「ダックロック」、マルコムが手掛けたアダム&ジアンツ、バウワウワウのブルンディドラム、アフリカンビートへの接近が、ロビンの意識にあったのであろう。アフリカンリズムに陽気なシキシャのヴォーカル、コーラスにホーンセクション、エレクトロニクス、直線的なNWメロディーが融合したユニークな音世界!
8 MYLENE FARMER/POINT DE SUTURE 08(POLYDOR)531 083 3
加、仏、フレンチポップス、スタジオ盤7作目。
フレンチポップス界の歌姫ミレーヌ ファルメール、妖しいドールジャケと最低価格に釣られて入手、日本的情念を感じる魅力的な人形は、日本の有名な人形作家三浦悦子の作、縫合を意味するタイトル通りの縫い目の痕が痛々しい手術台のファルメール人形、ブックレットにも満載で、ワンショットのみファルメール自身が肩に縫い目を画いた魅力的なカットも含まれた素晴らしいアートワークで一見の価値有り。
ジャケのイメージと違いポップで軽い打ち込みのピコピコサウンドにカマトトヴォーカル、美貌とエロスだけの人といったら身も蓋もないか?
9 GARY WILSON/ELECTRIC ENDICOTT 10(WESTERN VINYL)WES1079
米、ストレンジポップ、宅録、5作目。
なかなか強烈なジャケが目を惹くゲィリー ウィルソン、ステージでの出で立ちらしく、包帯やらセロファン、ビニールとかを身体中にぐるぐるに巻き着けて異様なパフォーマンスを展開するらしい。77年にリリースされたセカンド作がカルトな人気を集め04年に復活したカルトシンガー、奇妙に捩くれまくった異形の世界、Rスティービー ムーア的世界にメロウ、ファンクなアーバンなティストをぶちこみ、ピーター アイヴァースがらりった様な下手くそなヴォーカルが唸るという変てこな世界!
10 BOBBY WHITLOCK & COCO CARMEL/LOVERS 07(THE DOMINO LABEL) CDR
米、SSW、スワンプ、何作目かは不明。
ボビー ウィットロックといえばデレク&ザドミノスのメンバーとして広く知られてる、アルバムの半数近くのコンポーズも手掛けた重要な役割を負った才能あるミュージシャンであった。ドミノス後はソロに転じ70年代に素晴らしいアルバムを4枚リリース、勿論アナログ盤で押さえてる。そのホイットロックが10年程前に復活しアルバムを数枚リリースしてるらしいのだが、通販オンリーらしく、何せ見掛けない、今回漸く入手出来た、CDR、ペラ紙のみと残念な仕様だが、内容は素晴らしすぎ。パートナーのココ カーネルがベース、サックス、フルート、ストリングス、ヴォーカルと大活躍、ウィットロックのハモンドにヴォーカルは渋味を増し、これぞスワンプロックといった熱い南部魂を感じる渾身の一枚、ラストには「レイラ」のカバー有り。
パート3

11 ブワナ/灼熱の嵐 01(キャプテントリップ)CTCD369
コロムビア、ラテンロック、オリジナルリリースは70年唯一作。
本作は以前デフジャケ盤をレヴューしてるが、ニカラグア産と記述したが、本作のライナーにはコロムビア出身と記され、それ以外は詳細不明とされてる。本作のジャケは前回紹介盤の裏ジャケを表にしたもの、どちらもギリシャのアシッドシンポシウム盤で規格番号も一緒、キャプテントリップは輸入盤に帯、解説を付したもの、初盤が本ジャケで前回紹介の黒人子供ジャケが再発盤仕様なのか?当時、コロムビアとニカラグアでリリースされ、それぞれのジャケであったと推測もされるし、二つの出身国説があるのも頷けるが真相は不明。
ジャケからも伺いしれる様にサンタナの影響濃いラテンロック、ライナーにはジンジャーベイカー&エアフォース、オシビサが引き合いに出されてる。アフロサイケジャムバンドブワナの灼熱の嵐は乱舞するパーカッション、スペーシーなオルガンにファズギター、ラテンファンク、レアグルーブ、クラブユースなサウンドが満載!

12 CHOCOLATE WATCHBAND/REVOLUTIONS REINVENTED 12(TWENTY STONE BLATT)BAMF41
米、サイケ、再結成スタジオ第ニ作。
三枚のサイケクラシックアルバムをリリースした伝説のグループチョコレートウォッチバンド、90年代に復活しライブ活動開始、00年にスタジオアルバム「ゲットアウェイ」リリース、未入手、そして本作はセルフカバー集、当ブログで以前取り上げた15年リリースのパープルピラミッド制作盤と同内容のオリジナルにあたる作品?手当たり次第に手を出してると良くある話しで、前掲のブワナもそうだが、ジャケ、レーベルが違えば別物というコレクター心理というか、言い訳でどんどんブツが増える事態の逃げ口上。同じコンピ盤と間違えそうな若い頃のメンバーショットジャケのパープルピラミッド盤より本ジャケが良い、50年近い歳月が流れ、当然ながらメンバーはすっかり老け込んでるが、サウンドは若々しい!
13 MERRELL FANKHAUSER/JUNGLE LO LO BAND 94(LEGEND)LM9015
米、サイケ、ロック、何作目かは不明。
インパクツ、エグザイルス、ファパドクリー、HMSバウンティ、ムーといった伝説のグループを率いたメレル ファンクハウザー、ソロに転じてから数多くのアルバムをリリース。ロッキー エリクソン、スカイ サクソン、メイヨ トンプソンがサイケ御三家なら、ラスティ エバンス、マイケル ヨンカースにメレルはサイケ裏御三家?ともいえる存在。
さて本作にはフューチャリングエド キャシディ&ニッキー ホプキンスと記されてる。残念ながらどちらも故人となってしまったが、12年89歳で没したキャシディはロック界最長老、スピリット結成時には既に50近かった、23年生まれというからチャック ベリーより三歳年長なのである。そんな大先達キャシディを真ん中に肩を組むメレルにメンバー達のショットが何とも良い雰囲気。
さて本作はジャングルをテーマとしたコンセプト作、曲間に怪鳥の鳴き声、水音等のSEをたっぷりとフューチャーしたジャングルの蒸せかえる様な空気間が漂ってるエスノサイケな一枚!

14 PUHDYS/1+2 96(BMG)74321453332
独、サイケ、ハード、オリジナルリリースは74年ファースト作と75年セカンド作の2イン1仕様。
旧東ドイツのグループといえば、当ブログではエレクトラ、カラットといったグループを取り上げてるが、このプーディーズは現在も活動していて30数枚のアルバムをリリースしている人気グループ。先のグループと同じくゴッタ煮的クラウトロックの典型的なグループで70年代初頭の英米ロックの影響を受けたハード&ヘビー、サイケ&プログレなサウンドに硬質な独語のダミ声でヴォーカルが迫り来る。キャッチーでフックのあるメロディーにユーモラスな感触が人気の所以か?
15 MANFREDS/LIVE 99(MANFREDS)MANCD1 2CD
英、ビート、ロック、ライブ音源。
リーダーのマンフレッドマン抜きで他のメンバー達がマンフレッズとして始動、ポール ジョーンズにマイク ダボの二代ヴォーカリストが揃い踏み、マイク ハグ、マイク ビッカーズ、トム マッギネスにベニー ギャラガー、ロブ タウンシェンドによる布陣によるライブ音源、マン時代の名曲群にメンバー関連のマッギネスフリント、ギャラガー&ライルのナンバーも収録、歴戦の強者達がライブを楽しんでる様子がビンビンに伝わってくる。12年には奇跡の来日公演が行われてる。
今週は9枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY289 2016.0723-0729
1 ANDY KIM/IT'S DECIDED 15(A&C)A&C103 ペーパースリーブ
加、SSW、ポップス、8作目。
アンディ キムといえばジェフ バリーとの共作、アーチーズの「シュガーシュガー」の作者として知られてる。自身もSSWとして60年代後半から活動、「ベイビーイッツユー」「ロックミージェントリー」のヒット曲有り。アナログ盤は6枚全て押さえてるが、すっかり過去の人との認識であったが、何と新作がリリースされていた、11年に復活してアルバムをリリースしたらしいというから4年降りの復活第ニ段となる。プロデュースにブロークンソーシャルシーンのケビン ドリュー他があたり、同郷のSSWロン セクスミス、トータスのジョン マッキンタイアー、リアム オニールの名もある。旧知の仲のミュージシャンを起用するのではなく、若いミュージシャンを起用する事にアンディの気概を感じる。若々しいヴォーカルにメロディーメイカーとしての非凡なセンス、決して枯れる事ないポップマエストロの矜持を感じる素晴らしき一枚!
2 FRANCOIS BERANGER/INTEGRAL 1974-1980 (BAILLE MONT)CD889
仏、SSW、オリジナルリリースは79年7作目と80年8作目の2イン1仕様盤。
プロテストフォークシンガーフランソワ ベランジェ、当ブログでは本シリーズの2にあたる作品、サンドローズのジャン ピェール アラーセン参加のプログレファンも要注目のアルバムを紹介済み。
プロテストソングというと声高に矢継ぎ早に不平不満をぶちまけるといった荒々しい歌を想像しがちで、実際そういった直裁的なシンガーも多く、根底にある熱いものが言葉の壁を越え伝わってくるものであるが、大半は諭す様な口調の穏やかなヴォーカルを友好的なサウンドにのせメッセージを語り次ぐベランジェタイプ。本作に収録されたニ作ともジャズ、フュージョンサウンドに穏やかなヴォーカルといったスタイルで、80年作ではトロピカル、レイドバックした雰囲気も漂う、リゾート地を食い物にする資本家を揶揄した様なジャケも皮肉が効いてる。恐らく諷刺の利いた痛烈な歌詞なんだろう?
3 ユージン マクダニエルズ/ヘッドレス ヒーローズ 99(ワーナー)AMCY6020
米、SSW、ニューソウル、オリジナルリリースは71年セカンド作。
R&B、ソウル、ファンクミュージックがバックボーンの黒人系ミュージシャンには、フォーク、SSWという括りでいうとあまり存在しない、リッチー ヘヴンスが有名な位だろうか。ソウル系のフォーキーなSSWの中で再評価の機運が高まったのが、テリー キャリアにこのユージン マクダニエルズ、特に本作はレアグルーヴの宝庫としてサンプリングしまくられてるらしい。リズム隊にミロスラフ ヴィトウス、アルフォンソ ムザーンというウェザーリポートの二人他、ジャズ畑のミュージシャンが参加して、前作よりジャズ色の濃い、社会的メッセージ強い姿勢はヒップホップシーンに大きな影響を与えている。
4 EKSEPTION/THE 5TH 98(ROTATION)824 482 2
蘭、プログレ、69-73コンピ盤全16曲。
オランダを代表するプログレトリオトレースのキーボディストリックヴァンダーリンデンが在籍していたエクセプション、クラシックとロックを融合したグループとして高く評価されてる。本作はクラシックのカバーだけを収録したコンピ盤、タイトルは「第五」ベートーヴェンの運命はじめクラシックの超有名曲がロックにアレンジされて次から次へと飛び出してくる、クラシックに疎い自分でさえ、耳馴染みのあるものばかりで楽しめるが、フックの効いたイージーリスニングといった処?
5 LOTHAR AND THE HAND PEOPLE/PRESENTING... 10(MICRO WERKS)MW063 三面ペーパースリーブ
米、サイケ、オリジナルリリースは68年ファースト作にボートラ3曲付。オリジナルアナログ盤、プラケのワンウェイ盤に次いでの三アイテム目の入手となるローター&ザハンドピープル、オープニングのモート シューマン作「マシーンズ」の印象が大きく、元祖テクノポップともいうべき、ガシャガシャした電子音がユニークなナンバー、全てがこの調子ではなく、カントリー、ボードビル調、虫声による変テコなナンバーに、意外にピアノが美しいまともな曲、実験的で多彩な楽曲が詰め込まれてるが、結構ポップで聴きやすいサウンドがミソ、随所にテルミン、シンセ等奇妙な電子音が挿入されたガジェット感がユーモラスでユニークなグループ!
因みにローターとはテルミンの事、エコー&ザバニーメンみたいなもの。
パート2
6 MAN/BE G00D TO YOURSELF AT LEAST ONCE A DAY 91(BGO)BGOCD14
英、ロック、パブ、オリジナルリリースは72年7作目。
ウェールズを代表するグループマン、現在も活動する息の長いグループでメンバーはかなり流動的で複雑、マンのメンバーといえばソロアルバムもリリースしてるディーク レナードが思い浮かぶが、本作リリース時には二度目の脱退、オリジナルメンバーのミッキー ジョーンズに復帰したクライブ ジョン、テリー ウィリアムス、新たに参加した同郷のアイズ&ブルーのフィル リアン、後にピート ブラウンとの活動で有名、クイックサンドのウィル ヨウアットが参加。プロデュースはグループ自身とディブ エドマンズ、長尺曲で構成された全4曲、レコーデッドライブといった雰囲気、元祖ジャムバンド、英国のグレイトフルデッドとも評されたリラックスしたセッションといった緩さが良い!
7 ピェール バルー/サウダージ 02(オーマガトキ)OMCX1075
仏、フレンチポップス、ボサノバ、60-63初期音源集。
ピェール バルーについて知ってるニ、三の事柄といえば、映画「男と女」の出演主題歌、ボサノバをフランスに紹介、サラバレーベルの主宰者といった処、本作はデビューアルバム以前のシングル盤を中心に編集、バーデン パウエルとの録音「サウダージ」の貴重音源はじめ、若き日のバルーの情熱と感性が封じ込められた重要盤!
8 ニール ヤング/アンプラグド 93(ワーナー)WPCP5360
加、SSW、ロック、27作目?アコーステイックライブ盤。
多数のライブ盤をリリースするニール ヤング、MTVのアンプラグドシリーズの一枚としてリリースされた本作はアコーステイックなニールの魅力に溢れた名作、ノイジーでエレクトリックな魅力の「ウェルド」と対称的な本作のニールもアーティスト、パフォーマーとして多面性を持つニールの今だ底知れぬ才能に驚くのみ、錆びつく前に燃え尽きたいとかつてニールは云ったが、決して錆びつく事はない。
前半の弾き語りセット、バッファロー時代の「ミスターソウル」、何とパイプオルガンでの弾き語り「ライクアハリケーン」、後半はバンドセット、CSN&Yの「ヘルプレス」で始まり、ニルス ロフグレン、ベン キース、スプーナー オールドハム、ティム ドラモンド、ニコレット ラーソン等がバックアップ、前作「ハーベストムーン」の収録曲を中心に展開、酷評された問題作「トランス」の「トランスフォーマーマン」が、名曲に生まれ変わってるのが聴き処!
9 GREENSLADE/BEDSIDE MANNERS ARE EXTRA (WB)7599 56866 2
英、プログレ、オリジナルリリースは73年セカンド作。
前作と同年早くもリリースされた、最高傑作の呼び声高いアルバム、前作と同様、ディブ グリーンスレイドにローソン、トニー リーヴス、アンドリュー マッカロックのギターレス、ツインキーボード体制。前作より更に洗練、ダイナミックさを増したキーボードアンサンブル、各種キーボードの多彩な音色による流麗なメロディー、詩情溢れる歌も表情豊かに、テクニカルなリズム隊もドラムソロを織り込みぐんぐん迫り来る、グリーンスレイド絶頂期の名演が楽しめる一枚、最高傑作の評も納得!
10 DORIAN GRAY/IDAHAHO TRANSFER 94(LOST PIPE DREAMS)LP019CD
独、サイケ、ハード、オリジナルリリースは76年自主制作唯一作にボートラ1曲付。
オスカー ワイルドの書を基にするドリアングレイというグループは幾つか存在する。ドイツには現行ヘビメタグループにもいるが、本作は76年に自主制作でリリースしたアマチュアグループ?ジャーマノフォンレーベルからもリリースされていて白地にグループ、タイトルだけのシンプルなジャケがオリジナルみたいで、他に頭文字の手書き、ピクチャーを貼り付けた三種のパターンが存在するみたいだが、何れも激レアで幻のアイテム。本作のジャケはなかなか秀逸で惹かれるものがある。
さて肝心の内容はパシャパシャ忙しい軽いドラミングにサイケなギターが軽快に飛ばしていくオープニングに下手くそな女性ヴォーカルに、チープなキーボードによる素人臭い雰囲気から、鐘音にチャーチオルガンが妖しい幻想的な幕開けから始まる12分にも及ぶ大曲は、男女混声ヴォーカルによる暗いサウンドはNW風でもあるし、サイケデリックにプログレッシブに展開するなかなかの力作で本作の聴き処、好盤!
パート3
11 GIANT SAND/VALLEY OF RAIN + BALLAD OF A THIN LINE MAN 97(DIABOLO)DIAB831
12 GIANT SAND/PURGE & SLOUCH 93(RESTLESS)7 72746 2
米、オルタナ、オリジナルリリースは85年ファースト作と86年セカンド作のカップリングと93年10作目を連聴。
砂漠のルー リードの異名を持つハウ ゲルブ率いたデザートロックの雄ジャイアントサンド、当ブログではセカンド単体を紹介済み、ペイズリーアンダーグラウンドなガレージロックなファースト、グリーンオンレッドのクリス カカバスがピアノ弾いてるタイトル曲がいかしてるファースト、初期ドリームシンジケートにも通じる格好良さである。セカンド作ではルーツ指向も少し顔を出しはじめて興味深い。
10作目はゲルブ節も確立されたデザートロック、オルタナカントリーの真髄が聴ける好作でキャレシスコの二人も大活躍。シンプルな音数の中、ゲルブのヴォーカルが最高!
13 TAJ MAHAL/MO'ROOTS (COLUMBIA)CK33051
米、ブルース、8作目。
ライ クーダー、ジェシ ディビスもメンバーであったライジングサンズに参加したタジ マハール、解散後はソロに転じ68年より多数のアルバムをリリースしている。本作は父方のルーツであるカリブの音楽に接近したアルバム、スリッカーズ、ボブ マーレィ、ボブ アンデイのカバーによるレゲエサウンドに、カリビアンミュージックにアプローチしたオリジナル楽曲、タジらしいブルース、ソウルフィーリングにカリビアンなスパイスが効いた極上のサウンド、以降カリブ音楽を追究し、更に独自のワールドミュージックの創造へと進んでいく。
14 ローラ ニーロ/エンジェル イン ザ ダーク 01(オーマガトキ)OMCX1067 紙ジャケ
米、SSW、94-95ラストレコーディング集。
キャロル キングと並ぶ女性SSWの草分け的存在ローラ ニーロ、97年の死去から既に20年近い歳月が流れてる。生前にリリースされたアルバムは11枚、本作は生前最後に録音された楽曲を纏めた遺作ともいえるアルバム。カバーアルバムと新曲で構成された二枚のアルバムの構想があり録音が進められていたが、癌を発症、97年に逝去、享年49歳、あまりにも若すぎる最後であった。本作は未完成に終わったマテリアルを一枚に纏めたもので、新曲7曲、カバー8曲で構成。シュレルズ、ミラクルズ、デルフォニックス、エヴァリーブラザーズ、バカラック=デビット、ジョージ ガーシュインのスタンダードナンバー、何れも幼少の頃からドウワップ、R&Bに親しんだローラらしい選曲。参加したミュージシャンはジョン トロペイ、ウィル リー、バーナード パーディ、クリス バーカー、ブレッカーブラザーズ等、後期アルバムを支えた錚々たる面子、ピアノ弾き語りにローラの変わらぬ歌声、ローラがそこにいる、それだけでいい!
15 GARYBALDI/ASTROLABIO 06(BTF.IT)VMCD116 ペーパースリーブ
伊、プログレ、ハード、オリジナルリリースは73年セカンド作。
三面開き幻想的なジャケがあまりにも有名なファーストに比べ地味なジャケで人気薄のセカンド、イタリアのジミヘンことバンビ フオッサーティ率いるトリオガリバルデイ、片面1曲の全2曲の大作で占められた本作、アナログ時代のA面はスタジオ作、B面はライブ録音。幻想的なサウンドに叙情的な歌声、官能的なギターに熱く迸る感情が爆発するイタリアン魂、ライブ編ではジミヘンと化したギターが炸裂するヘビーサイケチューン、スリーピースロックの醍醐味が伝わってくる!
16 T.SWIFT & THE ELECTRIC BAG/ARE YOU EXPERIENCED 01(GEAR FAB)GF173
米、サイケ、オリジナルリリースは68年唯一作。
アナログ時代に入手したが、長らく詳細不明の一枚であった、近年漸くジェリー コールの膨大なスタジオワークの一環と知る。60年代初期よりホットロッド、サーフィン、ガレージ系の様々なグループで多数のアルバムをリリース、サイケ分野ではアニメティドエッグ、イドといったグループで有名、本作Tスウィフト&ジエレクトリックバッグは匿名性の強いグループでジャケはじめ、いかにも企画ものといった匂いがプンプン漂う一枚で同傾向として、ジェネレーションギャップ、ストーンキャニオングループ、プロジェクションカンパニー、101ストリングスが挙げられる。要するにジョニー キッチンみたいな人で、キッチンより胡散臭さが少ない感じ。本作はジミヘン人気に便乗した「アーユーエクスペリアンスド」カバーを筆頭にサイケデリックな演奏が繰り広げられる。ヴォーカルトラックは三曲、「ライクアローリングストーン」「うわさの男」「あの娘のレター」「スプーキー」のパクリ?や、BS&Tやヴァニラフアッジ風演奏と当時のヒット曲を巧みに消化した技はさすがコール!
今週は26枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY290 2016.0730-0805
1 ANANDA SHANKAR/A LIFE IN MUSIC 05(TIMES SQUARE)TSQCD9052 2CD
インド、モンド、ワールドミュージック、75-00コンピ盤二枚組全22曲。
インドで一番有名なシタール奏者ラビ シャンカールの甥にあたるアナンダもシタール奏者として活躍、本作はEMIに残された7枚のアルバムから編集されたベスト盤。レアグルーヴものとしてクラブシーンで重宝されてるらしいが、こちとらクラブシーンには関係無いのでどうてことは無い。
2 UNCLE DOG/OLD HAT 00(LA COOKA RATCHA)LCVP121CD
英、ロック、スワンプ、オリジナルリリースは72年唯一作。
このグループの紅一点のヴォーカリストキャロル グライムスはマギー ベル、エルキー ブルックスと並びイギリスのジャニス ジョプリンと称される実力派。そして何といってもカンタベリーシーンの重要グループデリヴァリーを率いていた事でも知られる。デリヴァリーはハットフィールズオブノースへと発展。そしてもう一人このグループで注目しなければならないのがディビッド スキナー、ソフロ系デュオトワイスアズマッチの片割れ、本作ではカバー曲以外の殆どのコンポーズを手掛けるフロントマン。更にスライド、ドブロギターの名手サム ミッチェルが参加、本作のスワンピーなサウンドに大きく貢献。
本作を語るうえでの目玉、売りとなっているのがポール コゾフの参加、「ウィブゴットタイム」で、キャロルの熱唱に例の泣きのギターソロで彩りを添えている、本作のベストトラックといえるバラード大名曲、絶品!米のこてこてのスワンプとは違う、英国的気品が漂うスワンプの逸品として記憶に残る作品!
3 NEKTAR/A TAB IN THE OCEAN (BELLAPHON)289 09 002
独、英、ロック、プログレ、オリジナルリリースは72年セカンド作。
当ブログではベスト盤を取り上げてるだけのネクター、正直アナログ盤もファーストか「リサイクルド」を持ってたかもという曖昧な記憶しかない、ネクターの諸作はアナログ時代ごろごろ安価で転がってたが、あまり触手は伸びなかった、どうしてもレアなマイナーものに目が行きがち、ここのところ、そうした王道、中堅処、アナログ時代スルーしたアイテムを安価なCDで買い漁ってる。これが意外にといっては語弊か、当然内容的に素晴らしいものも多く、音楽は聴いてみなければ分からない。さてネクター、今でこそ英出身グループという事は衆知だが、後年米国で活動していた時期もあって米出身説もあった、その辺の曖昧さに何となく敬遠、今では正体不明、ミステリアスなグループ大好物だが、当時はまだまだウブであった。
本作はジャケからも窺いしれる様に、プログレッシヴに深化、アナログでは片面の17分近いタイトル曲に、4曲の19分に及ぶ組曲形式と大作指向、シンフォプログレ的新機軸だが、そこはネクター、重たい引き摺る様な感触がクラウト的で魅力!
さる7月29日、ギタリスト、ヴォーカリストのロイ アルブライトンの訃報が、、、哀悼。
4 PROPINQUITY/PROPINQUITY (NUMERO GROUP)4303 2
米、アシッドフォーク、オリジナルリリースは73年唯一作にボートラ4曲付。
本作はとっくの昔に入手済みだが、ペットボトル500ml価格とあってはだぶり買いせざるを得まい。男女混声5人組コロラド産プロピンキテイ、木立の前のシルエットジャケ、ルーラルな空気がほんわか立ち込める、気分はゆったりの極楽ドリーミーフォーク、当時18歳のカーラ嬢の清楚で可憐なヴォーカルは英フィメールフォーク好きの琴線に触れる事間違い無し、レアなソロアルバムのCD化も望む。男性ヴォーカルも温かい実に良い声で、カーラとのユニゾン、ハーモニーヴォーカルが生み出す極上の歌世界に、煌めくアコギのアンサンブル、軽快なリズム隊、パーカッション、ピアノ、ヴァイオリン、マンドリン、リコーダー等による演奏は温かさと清涼感溢れる美しいもので心が洗われる珠玉の逸品!
5 GENE CLARK/FIREBYRD 97(MPG)74053
米、フォークロック、オリジナルリリースは84年5作目。
初期バーズのソングライティングを手掛けた重要なミュージシャンジーン クラーク、印税によるメンバーとの確執、飛行機嫌いによるツアー拒否による問題等の為、二作のみでバーズを脱退、以降ゴスディンブラザースとの共演、ディラード&クラーク結成を経てソロに転じて活動、73年には再編バーズに参加、本作は前作より7年降りとなるソロとしては最終作。オープニングの「ミスタータンブリンマン」の5分半に及ぶカバーで掴みはOK、80年代的ポップス感はあるものの70ズSSW王道サウンドを味わえる好盤でクリス ヒルマン、ハーブ ペダーゼン、トーマス ジェファーソン ケイ、グレッグ ダグラス等が参加、バド シャンクが一曲フルートで参加、絶品の演奏で本作を締め括っている。クラークはこの後、カーラ オルソンとデュオ活動するも、91年逝去、47歳という若さであった。
パート2
6 LOUISE FORESTIER/AVEC ENZYMES (UNIDISC)UBK4024
加、フォーク、SSW、オリジナルリリースは70年セカンド作。
女優としても著名なカナダケベックを代表するアーティストルイ フォレスティエ、所謂歌が巧い、美声タイプではないが存在感のある声がなかなか個性的、バックを勤めるのは71年の唯一作が高い評価を得るヴォ ヴォワザン、アートサイケ、プログレッシヴな多彩な演奏がフォレスティエの歌を盛りたてる。
7 KATE WOLF/LOOKING BACK AT YOU 08(COLLECTABLES)COLCD7913
米、フォーク、SSW、オリジナルリリースは94年ライブ音源。
86年に44歳という若さで没したケイト ウルフ、死後にリリースされたライブ音源集で77から79年ギターショップ、FMラジオ用、フォークフェステイバルでの3ソースから構成。ケイトの落ち着いたアルトヴォイスの弾き語りにニナ ガーバー、ドン ゴフィン、ドン ランジがバックアップ、トラッドナンバーにレナード コーエン「電線の鳥」ジャクソン ブラウン「ジーズデイズ」のカバーが印象深い、他にトム パクストン、ユタ フイリップスのカバーも有り。まずベッドの上でギターを爪弾くモノクロジャケに女性SSWファンはKOであろう!
8 RODNEY CROWELL/AIN'T LIVING LONG LIKE THIS 02(AUDIUM)AUDCD8164
米、SSW、カントリー、オリジナルリリースは77年ファースト作。
カントリー系はあまり好みではないので、この人についてもエミルー ハリスバンドのギタリスト、ジョニー キャッシュの娘ロザンヌ キャッシュの旦那といった位の知識しかないが、このアルバムはアルバート リー、ジェームス バートン、エイモス ギャレット、ライ クーダーという怱々たるギタリスト、ハル ブレイン、ジム ケルトナーのドラムにベースはエモリー ゴーディJR、キーボードにドクター ジョン、フィドルにリッキー スキャッグス、バイロン バーライン、バックヴォーカルにエミルー ハリス、ニコレット ラーソン、ウィリー ネルソン等物凄い面子が参加、この顔触れで悪かろう筈がない、余裕の名演にロドニーの味のあるヴォーカル、この時代を代表するカントリー系SSWの好盤!
9 ROBYN HITCHCOCK/BLACK SNAKE DIAMOND ROLE 95(SEQUEL)RSACD819
英、SSW、ネオサイケ、オリジナルリリースは81年ファースト作。
色々なレーベルからリイシューされてる人気?のロビン ヒッチコック、ボートラの内容が違ってたりしてファンは全て押さえておきたいところ?というわけで2枚目のゲットとなるが、内容違いかどうかは、前のブツが直ぐに探し出せないので不明。
当ブログで何度も取り上げてるヒッチ先生、大ファンでもあるというシド バレットとも比肩される捩れたサイケポップスに、ブラックなユーモアを盛り込んだ世界感が炸裂するセンス抜群のソロファースト作、ヒッチ先生魅力満載の傑作!ジャケも最高!
10 JACKSON C. FRANK 14(EARTH)EARTHCD001 ペーパースリーブ
英、米、フォーク、SSW、オリジナルリリースは65年唯一作。
本作は何度目かのリイシューでその都度入手してるが、今回はデフジャケ、ボートラ無し、ライナーノート、ブックレットの類いも無い素っ気ないリリースで、改めて入手する必要のないコレクター向けのアイテム。米国出身のジャクソン ケアリー フランクが渡英し、ポール サイモンのプロデュースで録音した一枚、その真摯な弾き語りはフォークリバイバルにあった英国シーンにあって、当時の恋人であったサンディ デニー、バート ヤンシュ、ジョン レンボーン、マーティン カーシー、アル スチュワート、ニック ドレイク等に多大なる影響を与え、その楽曲は多数カバーされてる。小学生の頃学校火災で火傷をおい多くの学友を失ったトラウマ、傷の後遺症は生涯癒える事無く、99年56歳で没してる。
パート3
11 I GIGANTI/THE COLLECTION 08(STEAMROLLER)SRCD6240 2CD 三面開きペーパースリーブ
伊、ビートポップス、ラブロック、65-72二枚組コンピ盤全24曲。
71年「犯罪者の唄」がイタリアンプログレ屈指の名盤と評されるジガンテイ、ビートポップス、ラブロック時代を中心に編集されたコンピ盤。高い演奏力と歌唱力で甘いポップス、ラブロックでヒットを連発した60年代ジガンテイの魅力を知るにはもってこいのコンピだが、当然ながら「犯罪者の唄」に比して物足りない。

12 EL KINTO/CIRCA 1968 06(LION PRODUCTIONS)LION612
ウルグアイ、サイケ、ロック、オリジナルリリースは77年、67年録音唯一作にボートラ6曲付。
エドワルド マテオ、ルーベン ラダが在籍し、リモナーダやトーテムといったグループに派生していくウルグアイロック伝説のグループエル キント、ブリテイシュインベンションの影響に、ブラジルのボサノバやアフロラテングルーヴ、ウルグアイ伝統音楽カントンベを融合させた独自の音楽性。呪術的なパーカッションの響きに南米らしい郷愁、哀愁溢れるメロディーにヴォーカル、コーラス、躍動感溢れるラテンリズムに軽快なギターのカッテイングに、サイケデリックなソロ、逆回転、仄かに漂うアシッド感、マテオの哀愁ヴォーカルが素晴らしい南米屈指の一枚が10年間もお蔵入りとなってたのが解せない。
13 RED KRAYOLA/RED GOLD EP 06(DRAG CITY)DC327CD
米、サイケ、オルタナ、6曲入りEPCD盤。「イントロダクション」録音時のセッションよりヴォーカル曲3曲とインスト3曲。
クレヨラ初来日時の渋谷クアトロWAVEでのインストアライブで至近距離でメイヨ トンプソンに遭遇した事がある。巨体に白髪白髭、仙人の如き風貌は強烈なオーラを発していた。まさしく生けるサイケ仙人であった。
サクソンは亡くなり、エリクソンの体調は万全でなく、一人気を吐くトンプソン、旺盛な創作意欲に舌を巻く、濃密な空気が張り詰めるクレヨラの音空間にメイヨの達観したヴォーカルが漂う、もうもうと煙を吐くエッフェル塔ジャケもクレヨラっぽい!

14 ナポレオン14世/狂ったナポレオン、ヒヒ、ハハ・・・ 96(イーストウェスト)AMCY969
米、ノベルティ、モンド、編集盤。
ナポレオン14世ことジェリー サミュエルズは作曲家、エンジニア。バリー サドラーの「悲しき戦場」にインスパイアされ録音したシングル「狂ったナポレオン、ヒヒ、ハハ・・・」が全米3位の大ヒット、本作は66年にリリースされたアルバム全曲に、68年に制作されるもお蔵入りとなったセカンドアルバムの音源と、CD化の際に収録された新作から成る編集盤。
ラップの先駆けともいえるしゃべくりコミックソングに、早回し、逆回転、おふざけの限りを尽くしたコミックソングが次から次へと飛び出す面白盤だが、英語堪能でないと厳しいかも、訳詞みながらヒヒ、ハハ、楽しむ一枚やね?

15 LOUDEST WHISPER/BLUE...IS THE COLOUR OF TIME 14(SUNBEAM)SBRCD5099
アイルランド、フォーク、ロック、再結成第一段。
重大性6枚組BOXセットで打ち止めだと思っていたのに、再結成アルバムリリースとあっては入手せざるを得まい。人知れずカルトな人気を誇ったラウデストウィスパー、さぞかし、孤高のフォークサウンドを奏でしやと思ったら、意外にポップで今日的ポピュラリテイを有するサウンドは今でこそ聴かれるべきもので、そういうわけでまさかの新作リリースは嬉しい限りである。今までのキャリアを総括する力作で予想以上の出来映え、美メロ哀愁フォーク、ハードエッジなギター、女声コーラス、サックス、弦楽クアルテットをフューチャーしたたおやかなフォークロックに、ソプラノヴォーカルを迎えての軽いオペラッタ調の楽曲、ライトなポップフィーリングが軽妙、ラストは「エリーナーリグビー」のカバー、良いね!
今週は21枚ゲット!
WEEKLY LISTENING LIBRARY292 2016.0813-0819
1 SPACE OPERA 04(COLLECTORS'CHOICE)CCM433 2
米、サイケ、オリジナルリリースは72年唯一作。
68年UNIレーベルより、Tボーン バーネットプロデュースにより、アルバムをリリースしたホイッスラー、チョーサー、デトロイト&グリーンヒルを前身とするスペースオペラが72年カナダよりリリースしたアルバム。粗々しいスティーリーダンといった風情のサイケデリックでプログレッシブでアートロックな一枚。ギター組曲ではロジャー マッギン風12弦ギターに激烈ファズギターとのアンサンブルがドサイケなインストナンバー、フルートが効果的な幻想的で浮遊感溢れる演奏に落ち着いたヴォーカル、ハーモニー、60年代フォークロックに70年代の洗練されたモダーンな感覚が融合した好盤!
2 DONNIE & JOE EMERSON/DREAMIN' WILD 12(LIGHT IN THE ATTIC)LITB082 デジパック
米、宅録ポップス、オリジナルリリースは79年自主制作唯一作。
田舎もんのティーンネイジャー、ドニーとジョーのエマーソン兄弟による宅録作品、ひっそりとリリースされ埋もれていた幻の一枚だが、近年、著名なコレクターが中古レコ屋で発見、気に入って宣伝、話題となる、更にアリエルピンクが「ベイビー」をカバーした事により、ライトインジアテイックからリイシューの運びとなり、目出度しというわけ。農家の若者がラジオから流れるロックに夢中になり、自宅に籠ってしこしこと作り上げたイノセントポップス、ジョーがドラム、ドニーがギター、ベース、シンセ、ピアノを担当。青春の高揚、瑞々しさ、やるせなさを青臭い演奏で精一杯叩きつけた青春宅録ポップの知られざる一枚!「ベイビー」「ドリームフルオブドリームス」青春胸キュンバラッドナンバーが素晴らしい。
広大なアメリカ、まだまだ埋もれたままの素晴らしいアルバムがあるはず、今後の発掘に期待する。
3 MINUS 5/I DON'T KNOW WHO I AM 03(RETURN TO SENDER)RTS43 デジパック
米、オルタナ、パワポ、6作目。
ヤングフレッシュフェロウズのスコット マッコーイとREMのピーター バックを中心とするグループマイナス5、ポウジーズのケン ストリングフェロウ、ジョン オウアーにウィルコのジェフ トウィーディ等が参加、ベテランモーガン フイッシャーの名が目を惹く。落ち着いたミドルテンポの楽曲に、マッコーイの枯れたヴォーカルがレイドバックした、スロウコアのウタモノにも通じる音世界が沁み入る。シンプルに聴こえるが細部に拘った音作りが聴き処、良いね!
4 DREDD FOOLE/DAZE ON THE MOUNTS 07(FAMILY VINEYARD)
米、フリーフォーク、アヴァンギャルド、3作目。
本作は以前、紙ジャケのリリックス盤を購入済みだが、デフジャケとあって気付かずにゲット。ドレッドフールは作家でもあるダン アイルトンのソロプロジェクト、MV&EE、マット ヴァレンティン、エリカ エルダーが全面バックアップ、ラブの「サインドDC」のカバー有り、フルート、タブラを導入したサイケデリックなアヴァンフォークが良い!
5 AREA/1978 GLI DEI SE NE VANNO,GLI ARRABBIATI RESTANO! (CGD)9031 74033 2
伊、プログレ、ジャズロック、オリジナルリリースは78年6作目。
イタリアンロック史上最高峰のグループアレア、デメトリオ ストラトス在籍最後のスタジオアルバム、翌年白血病の為、34歳の若さで急逝、ヴォーカルの可能性、声の持つ能力を最大限に追究した偉大なるヴォイスパフォーマーであった。アレア緒作の中でもポップな装いで聴き易いアルバムだが、そこはアレア、圧倒的なテクニックと複雑な構成力、地中海音楽のエッセンスを濃密に抽出したエスノミュージック、怒濤の変拍子の嵐、そして圧倒的な存在感と迫力で迫り来るデメトリオの壮絶なヴォイスパフォーミング、とにかく、一言凄い と口あんぐりの大傑作!
パート2
6 STEVE HILLAGE/L (CAROL)1801 2
英、プログレ、オリジナルリリースは76年セカンド作。
ユリエル~アーザケル、カーン、ゴングに参加したカンタベリーシーンの名ギタリストスティーブ ヒレッジの代表作で全英10位を記録したヒット作。プロデュースはトッド ラングレン、ユートピアのメンバーロジャー パウエル、カシム サルトン、ジョン ウィルコックスが参加、他にフリージャズトランペッターの重鎮ドン チェリーに盟友ミケット ジローディにハーディ ガーディ、タブラ奏者が参加。
とにかく仕事が早い、強引に仕切ってさっさと終わらせるプロデューサーのトッド、というわけで何かとトラブルが絶えないのであるが、仕事人としては有能、ヒレッジにはスペーシーギターをとことん弾かせ、子飼いの
ユートピアによるバッキング、各々の未来志向が融合した理想に近いスタイル、ユートピアにヒレッジが参加したみたいなものだと言えなくもないが、チェリーのチベタントランペットやタブラ、ハーディガーディ、ジロウデイのヴォーカルによるエスニックな味付けがアクセントとなっている。
7 TRIUMVIRAT/ILLUSIONS ON A DOUBLE DIMPLE 02(EMI)5 35162
独、プログレ、オリジナルリリースは73年セカンド作にボートラ4曲付。
次作の「スパルタカス」ジャケと共にトリアンヴィラートといえばネズミジャケと印象付けた代表作。ドイツのELPと称されたキーボードトリオ、アナログでは各面1曲の組曲で構成された大曲によるコンセプト作で、ドイツ以外でのデビュー作としてワールドワイドに紹介されたアルバム、もちろん我が国でも紹介され独のELPとして話題となった。英詞による歌唱は米国でも人気を博し、トリアンヴィラートの米盤アナログはよく見掛ける事となる。ユルゲン フリッツの多彩なキーボードワークを軸とするシンフォニックサウンドは、ELPと比しても決して見劣りしないもので、もっとワールドワイドな成功も期待されたが、何せポッチャリ三人組のルックスは初期ELPと比すると大きく見劣りする、やはりロックにはヴィジュアル面も重要なのである。
8 DAVE RAWLINGS MACHINE/A FRIEND OF A FRIEND 09(ACONY)ACNY0908
米、オルタナカントリー、ファースト作。
ギリアン ウェルチのパートナーデビッド ロウリングスのソロ、ギリアンも全面サポート、いつも脇役に徹しているデビッドが主役に回って、実に心地良さげに歌ってる。フィドル、ハーモニカ、オルガン、ピアノ、トランペット、パーカッション、つぼを心得た簡素なバッキング、ジミー ハスケルのストリングスも効果的、オルタナカントリー、アメリカーナの良心!
9 DOUG KERSHAW/THE VERY BEST OF 09(GREAT AMERICAN MUSIC)CDGA082
米、ケイジャン、SSW、ベストコンピ盤全18曲。
ケイジャンフィドルの第一人者ダグ カーショウ、40年代後半から活動する齢80の大ベテラン、69年初ソロ作をリリース、70年代の緒作はカントリー、SSW色の濃いケイジャンロックという独自のスタイルの傑作揃いで、アナログ盤を幾つか押さえたものだ、心ウキウキするケイジャンサウンド、テンション高いフィドルに味のあるヴォーカル、ケイジャンの代表曲「ルイジアナマン」のライブトラックで締め括る。
10 QUICKSILVER MESSENGER SERVICE/HAPPY TRAILS (CAPITOL)7 91215
米、サイケ、オリジナルリリースは69年セカンド作。
グレイトフルデッド、ジェファーソンエアプレインと並ぶシスコサイケの名バンドの魅力を余すことなく伝える傑作ライブ、「愛の組曲」と題された25分以上に及ぶ大曲でのジョン シポリナ、ゲイリー ダンカンのツインリードギターのインタープレイ、ボーディドリービートをベースに展開されるフリーキーで骨太なアシッドサイケサウンドが圧巻、ゆるゆるのドラッギーなサウンドに緊張感あるインプロビゼーション、アナログではB面にあたるトラックではまたしてもディドリーの「モナ」のカバー、デビアンツのミック ファーレンのファーストソロのモチーフともなったスタンダードナンバーでサイケファンにはお馴染み、躍動感溢れるつんのめりのボービートだが、クールな情感漂うのがクイックシルバーらしい、近年続々と発掘ライブ盤がリリースされてるのも納得の魅力がある。
私的には米三大アシッドフォークのディノ ヴァレンテ、アレキサンダー スキップ スペンスがオリジナルメンバーであったこのグループ、伝説やね!
パート3
11 CCS/A'S,B'S & RARITIES 04(EMI)5 60253 2
英、ブルース、ブラスロック、70-74コンピ盤全21曲。
英ブルースロックの父親アレクシス コーナーを中心にジョン キャメロン、ミッキー モストが協力して結成されたCCS(コレクティブコンシャスネスソサエティ)、ヴォーカルにデンマークブルースロックの重鎮ピーター ソラップ、アラン パーカー、バリー モーガン、ハービー フラワーズのスタジオミュージシャン、ハロルド マックニア、ヘンリー ローター、ケニー ホイーラー、トニー コー等ブラス隊が参加した大所帯バンド、本作は7枚のシングル曲に70年ファースト「CCS」72年セカンド「CCS2」74年サード「ザベストバンドインザランド」からの選曲に未発表音源2曲からなるコンピ盤。オープニングのZEP「胸いっぱいの愛を」のブラスインストカバーが痛快!
12 ソップウィズキャメル/ハローハロー 93(テイチク)TECX25423
米、サイケ、ソフロ、オリジナルリリースは67年ファースト作にボートラ1曲付。
カーマスートラがエリック ジェイコブセンのプロデュースで、ラヴィンスプーンフルの弟バンドとして売り出したソッピーズキャメル、シングル「ハローハロー」がスマッシュヒット、ノスタルジックで心ウキウキするオールドタイミーなアメリカングッドタイムミュージック、スプーンフルを小粒にした様なサウンドはなかなか魅力的ではあるが、アルバムは大して売れる事もなく、呆気なく空中分解。ドラマーのノーマン メイエルは旧友のノーマン グリーンバウムのアルバム「スピリットインザスカイ」に、ギタリストのウィリアム サイエヴァーズと共に参加。サイエヴァーズはトラッカウェイ名義で71年にソロアルバムリリース、近年韓国のレーベルから紙化されてる。ピーター クレイマーを除くキャメルのメンバーが参加したレオナード シェイファーのアルバムもある。何れも大好きなアルバムでプロデュースは全てジェイコブセン、更に73年にはキャメル再結成アルバム「ザミラクロスハンプリターンズフロムムーン」リリース、これもプロデュースはジェイコブセン、巨大なキャメルイラストジャケが迫力の好盤であった。この年にはファーストもデフジャケで再発されたが大して話題にはならなかった。
13 ローラ ニーロ/ライヴアットザボトムライン 89(VILLAGE GREEN)D25Y0344
米、SSW、10作目。ライブ盤としては77年「光の季節」に次いで二枚目。
前作「マザーススピリチュアル」より5年のインターバルを経てリリースされた、88年地元ニューヨークのボトムラインでのライブ音源、新曲も含めたラインナップでリラックスした雰囲気のローラのライブが楽しめる。艶やかで伸びやかなヴオーカルが良い。
この後4年降り、スタジオ作としては9年降り、93年生前最後のアルバムを遺し、97年還らぬ人となる。
14 MARTIN CARTHY/CROWN OF HORN 95(TOPIC)TSCD300
英、トラッド、フォーク、オリジナルリリースは76年9作目。
スリーシテイフォー、ステーライスパン、アルビオンバンド、ウォーターソンズ、ブラスモンキーといったグループでも活動した英フォーク界の大御所マーティン カーシー、その功績は計り知れない。本作はアシュレイ ハッチングスがプロデュースを担当、卓越したギター弾き語りの生真面目な語り口、、伝統的な無伴奏シンギングに、トニー コックスのシンセをフューチャーした革新的なラストトラック、フォークリバイバルの求道者として神々しいまでの光りを放ってる。
15 HOUR GLASS/POWER OF LOVE 92(EMI)98826
米、ロック、オリジナルリリースは68年セカンド作にボートラ6曲付。オールマンブラザースバンドのデュアン&グレッグ兄弟が在籍していたグループアワーグラス、勿論時代故、オールマンブラザースみたいなサウンドを期待すると肩透かしを喰らう、レーベルの意向で南部から来たアイドルグループとして売り出されたポップでキャッチーなサウンド、グレッグのソウルフルなヴオーカル、切れ味鋭いデュアンのプレイには非凡な才能が溢れてる。「ノルウェーの森」のインストカバー有り。
今週はレコ屋行かず!